2016 Fiscal Year Research-status Report
両立支援策の利用がキャリア形成にもたらす影響とそのメカニズム
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15K03688
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
坂爪 洋美 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (10329021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 有珍 山梨学院大学, 現代ビジネス学部, 講師 (40633889)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 短時間勤務制度利用者 / 管理職 / 仕事の質 / 心理的契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の研究実施の概要としては、以下3点を挙げることができる。まず、短時間勤務制度利用者を部下とする管理職を対象として、既に実施した調査データを用いた分析を行い、2つの論文としてまとめたことである。1つは短時間勤務者のキャリア形成に対しては、担当する仕事内容が影響すると考え、短時間勤務利用がもたらす仕事上の変化として、仕事の質に着目し、短時間勤務制度の利用による仕事の質の変化を明らかにすると同時に、仕事の質の変化に基づく類型ごとに管理職の認知や行動の変化を明らかにした。もう1つは、WLB施策の利用が利用者の認知に与える影響を検討したものである。分析結果からはWLB施策の利用は、利用者に対して肯定的・否定的双方の影響をもたらすことを明らかにした。 次に、学会発表を行ったことである。発表では管理職が認識する短時間勤務者のキャリア展望の規定要因についての分析結果を報告した。短時間勤務者がどのような仕事に従事するかが中長期的なキャリア展望に影響を与えると考えられることから、管理職の短時間勤務者への仕事の与え方を規定する要因として、「短時間勤務者のキャリア展望」に注目し、その規定要因を分析した。その結果短時間勤務制度のあり方、リーダーシップ、短時間勤務者の現時点での仕事内容などが、影響を与えることが確認された。 最後に、これらの分析結果をふまえて、新たな調査を計画し、計画に基づいて調査票を作成した。調査票は現時点で検討途中にある。なお、この間継続して関連する領域の文献レビューを継続して実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全体としては概ね予定通りに進行している。既に収集したデータに基づく分析ならびにその報告(学会発表・論文)を行うことを通じて、①短時間勤務者のキャリア形成の現状を組織との関係性や、担当する仕事、②管理職の短時間勤務者への行動を規定する要因、という2つの側面からアプローチし、一定の成果を上げている。 一方で、本年度実施した調査の分析結果、ならびに同時に並行して実施している他調査の分析結果をふまえ、改めて本調査の調査デザインを検討した。その結果、予定していた調査対象を変更したこと、さらには改めて仮説の設定を行ったことから、新規に先行研究のレビューが必要となり、調査票の作成を最初からやり直すことになった。そのため、本年度に実施予定だった調査の実施時期がやや後ろ倒しとなったことから、当初の予定と比べて進捗状況がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査票の作成過程で、検討課題が新たに生じている状況にあることを鑑みて、①必要に応じて他領域の専門家から調査票に対するコメントをもらうことを通じて検討課題の整理を行う、②調査の実施方法自体を改めて検討し、仮説の選別や調査対象の選定についても検討する。 2017年度には、2016年度からの実査遅れによる調査とは別に、管理職を対象とした調査を実施する予定であることから、この管理職調査の実査が遅れることがないように、年間のスケジュールを再検討し、より早い段階で調査票を確定し、実査ができるよう複数調査実施を視野に入れた上でプランニングを行う。
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Causes of Carryover |
次年度利用額が生じた主たる理由は2つある。まず、分析結果に基づく調査計画や調査対象を若干修正したことである。そのため新たな分野のレビューや調査票自体の見直しが必要になった。 次に研究協力者が出産し、育児に専念する期間があったことである。調査票の作成や分析といった議論が必要なタスクを2017年度に回し、かわりに分析結果を論文としてまとめる作業や文献レビューを2016年度に前倒しして実施した。 これらの理由により、大きな費用が発生する調査の実査に関わる費用が2016年に執行されず2017年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に実施予定であった調査を2017年度前半に行うことにしている。現在調査票の検討を行っており、十分に実施可能である。
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Research Products
(3 results)