2019 Fiscal Year Research-status Report
日本企業のグローバル人材に関する経時的研究:海外戦略と人的資源管理施策の視点から
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15K03697
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 志保 立命館大学, 経営学部, 准教授 (20389191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 直紀 法政大学, 経営学部, 教授 (50448817)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際人的資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献レビューや国内企業のインタビュー調査により次のことが明らかになった。これまで、親会社100%出資を志向して海外子会社の経営を行ってきた日本企業であるが、近年、グローバル競争の激化により、M&Aを加速化させている。すなわち、自社技術の開発だけでは時間がかかる為、他社の技術やノウハウを利用することでグローバル化に対抗する措置を取ることとなった。このような本社の大きな戦略の転向は、人的資源管理にも影響を及ぼす。すなわち、買収した海外の現地企業には既に雇用されている人材が確保されており、彼らを中心とした経営管理を行うことになる。例えば、彼らがグローバルに異動出来るシステムの導入などの実践が予想される。このことは、日本企業にとっては大きな変革と言って良いだろう。今後は、これらのことを含めた分析を行う必要がある。 またイギリスに進出している日本企業の海外子会社に対して、人材の現地化をテーマとしてインタビュー調査を行った。特に、子会社の人材現地化と、ヨーロッパ内での子会社間の協業に果たす現地人材の役割にフォーカスしてヒアリングを行った。専門知識を必要とし、組織内でも中核となる人材に関しては、多くの子会社で現地の人材に頼っており、日本からの駐在員が組織の中で占める役割は限定的であった。また、ヨーロッパ内のすべての子会社が、すべての機能を備えた独立した子会社というわけではなく、各地の子会社は、必要とする専門知識をもつ他の子会社と協業しながらビジネス活動を行っていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は主に国内企業を中心に、また、研究分担者は在外研究中の機会を活かして海外子会社を中心とした企業動向を追求することが出来る環境にある為、多面的に分析を行うことが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでも国際人的資源管理、現地化、グローバル人材の活用に関する文献研究を行ってきたが、これらの書物は膨大で、かつ新しい文献が継続的に出版されている。引き続き、これらの文献を網羅し、本研究の分析枠組みの見直しを行う。その上で、研究代表者は国内企業を中心に、分担者は海外子会社を中心にインタビューや質問票調査を実施し、実証研究を進める。
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Causes of Carryover |
産前産後休暇および育児休業の為、本研究課題の中断(2019年12月21日~2021年3月31日)と延長(2021年4月1日再開し、2023年3月まで延長)を申請した為、次年度使用額が生じている。 2021年4月から2年に及ぶ延長期間を通じて、文献研究のための文献の購入、分担者との打ち合わせのための諸経費(通信や出張費)、企業インタビューや質問票調査に掛かる費用、パソコンやプリンタ(インク含む)の購入、学会出張、論文の投稿費などに残額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)