2016 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォン産業におけるボーン・グローバル企業創出に関する探索型研究
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15K03699
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 彰憲 立命館大学, 映像学部, 教授 (70367134)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インディーズ / 独立系開発スタジオ / プラットフォーム / アプリ開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル規模で市場拡大が著しいスマートフォン用アプリ開発において、世界各国でアプリ開発ベンチャー企業が、アプリをリリースすると同時に複数国のユーザーからコンテンツを享受されるという現象が確認されている。これはアプリ開発ベンチャーがソフトウェア提供の対象としているスマートフォンを中心としたビジネスエコシステムにおいて、国際経営学で言うところの「ボーン・グローバル」型企業が多数創出されていることを意味するが、その実態はこれまで明らかになっていなかった。そこで本研究では、エンターテインメントコンテンツを開発しているベンチャー企業を研究対象に、これらの企業におけるボーン・グローバル企業創生の状況について検証を進めた。01年目は主にカナダ、アメリカ在住のベンチャー企業に対し半構造化面接を実施したが、02年は主に対象を国内ならびにヨーロッパ在住のベンチャー企業を中心にひろげ、半構造化面接を継続した。これまでスマートフォン用アプリを中心に事業を展開してきたベンチャー企業に紛れて、汎用型Virtual Reality デバイス向けコンテンツの開発を進めているベンチャー企業が存在していたが、今回はそのようなベンチャー企業が前年よりも増加しているのが確認できた。一方、スマートフォン向けアプリで市場占有率を高める企業は、近年大規模企業により占有される傾向が明らかとなってきた。そこで、2年目からはプラットフォームを制約にするのではなく、対象をエンターテインメントソフトウェア開発の独立系小規模スタジオと広げたうえで半構造化面接を継続した。その結果、欧州の企業においても、とりわけ、まだ登場して間もない汎用型Virtual Realityゴーグル向けデバイスや、スマートフォン用Virtual Realityソフト開発スタジオはグローバル市場を対象に企画から開発までを進めていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の把握、並びに評価項目の確認を踏まえたうえで、平成27年に実施した半構造化面接での研究結果を集約し、その成果と平成28年前半で実施した研究成果をあわせて、平成28年8月に開催された国際カンファレンスにて発表した。また、平成28年9月には中国系アプリ開発のベンチャー企業の経営者などとともにコンテンツ展開とグローバル展開に関してパネルディスカッションをおこないそこで実務者からの知見を吸収した。これらから得たフィードバックなどをうけ、研究を進め、その成果の一環として汎用型Virtual Reality用アプリ開発の事例を(そのうちの一社は同コンテンツをスマートフォン向けに移植している)比較事例研究として整理し、平成29年3月に開催された国内の研究発表会にて発表している。以上から、研究は順調に推移していると判断出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、平成29年度はこれまでの研究成果を整理すると同時に、国内企業とともにアジア地域の企業を主な研究対象として拡げ研究を継続する。なお、研究を重ねる中で、エンターテインメントソフトによるボーン・グローバル型への展開は、プラットフォーム依存というよりはプラットフォーム形成期にこそ起こりうる現象であるとの仮説が新たに生まれた。これらを踏まえたうえでそれに適した情報収集も行っていく。
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Causes of Carryover |
欧州に所在するゲーム開発スタジオは今回の調査で比較的数多く収集できたのと他のプロジェクトで国内に滞在する必要が出てきたためその分、想定していた出張などが困難となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アジア市場が急激に拡大していることから、アジアにおける独立系開発スタジオの動向把握のために予算を割り当てることとする。同時に関連のプラットフォームを生み出している企業に対しても如何にして独立系スタジオのグローバル展開を促進するか確認する予算として割り当てる。
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