2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03701
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
本間 利通 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (90461128)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 役割コンフリクト / 組織コミットメント / 職業コミットメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、役割コンフリクトと組織コミットメント及び職業コミットメントを量的・質的に評価した上で役割コンフリクト低減の枠組みを提示することである。前年度に薬剤師241名を対象としたデータを得ており、本年度は前年度に行ったアンケート調査の分析を行い、専門職の役割コンフリクトの記述を行った。 専門職が抱える役割コンフリクトを組織及び職業に対する関わり方という点から検討するために、組織コミットメント及び職業コミットメントをそれぞれ、情緒・存続・規範の3つの要素から測定した。アンケート調査では、薬剤師の専門職としての行動に関わる「疑義照会」に着目した。特定の疑義照会と特定の組織及び職業に対する関わり方の影響を評価した。調査結果からは、組織よりも職業に対する情緒的な関わり方の方が強い傾向があった。組織コミットメントおよび職業コミットメントの3要素の影響を定量的に評価することで、コンフリクト低減のためのモデル化に必要な知見を得た。多くの疑義照会において、情緒的組織コミットメント及び情緒的職業コミットメントが最も強い影響を持っているが、その他のコミットメントについても影響をする疑義照会のタイプもあった。調査の結果からは、それぞれのコミットメントは疑義照会については異なる影響を持つとの示唆が引き出せる。 職業に対する情緒的な関わり方を意味する情緒的職業コミットメントについては頑健な尺度であり、離職意志とも負の関係にあることが確認できているが、存続的組織コミットメントについては内的整合性について精緻化の余地が多い。質的なアプローチも含めてこれまでに得た知見に基づいて精緻化を行うことで、次年度以降に行うアンケート調査の測定尺度の信頼性を向上させるための検討を行った。主に、専門職であることの特殊性を考慮に入れるために、従来的な項目を入れ替えることについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度にアンケート調査を行えたことで、測定尺度の問題について研究計画より早く検討に入ることができた。次年度以降に行う本調査のために必要なデータを多く手に入れることができている。専門職の組織及び職業に対する存続的な関わり方を意味する、存続的組織コミットメント及び存続的職業コミットメントの測定については課題が残るが、検討のために必要なデータも収集することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
役割コンフリクトの測定については、組織コミットメントと職業コミットメントの対立を想定して検討を行ったが、調査結果からは職業に対する関わり方の方が強い傾向があった。今後は、それぞれのコミットメントがどのようにコンフリクトと関連するのかについて定量的に評価する。さらに、組織コミットメント及び職業コミットメントの先行要因について着目して、体系的なモデル化につなげるための知見を得るためのアンケート調査を行うことを予定する。 次年度以降に行うアンケート調査においては、より適切な組織コミットメント及び職業コミットメントの測定と、それによる組織の価値観と職業の価値観との間で発生する役割コンフリクトの測定を行うことを目的とする。さらに、前年度の調査では疑義照会は5項目について尋ねたが、より多くの項目を設定して分類した上で組織コミットメント及び職業コミットメントの影響を評価する必要があると考える。
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