2017 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the effect of intellectual property management on innovation
Project/Area Number |
15K03704
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
西村 成弘 関西大学, 商学部, 教授 (70511723)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 特許管理 / 研究開発 / RCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、企業による知的財産マネジメント(とくに特許管理)がイノベーションの代表的な指標である特許件数にどのような影響を与えているのか、またイノベーションそれ自体にどのような影響を与えているかを、事例分析を通して明らかにするものである。 RCA社を対象とした調査および分析では、アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントンのハグリー資料館および英国オックスフォード大学ボドリアン図書館での資料調査を通して、(1)提携企業間における国際的な特許管理により、国境を越えた技術および情報の移転が行われ、RCA社のアメリカ特許件数と、RCA社の提携会社の英マルコーニ社のイギリス特許件数は、このような国際特許管理によって規定されていたこと、(2)そのような国際的な特許管理は、米英両国におけるラジオ技術のイノベーションに影響を与えたこと、そして(3)RCA社が製造企業として自立すると、上記(1)(2)の条件を前提としつつも、自社内で研究開発と特許管理を有機的に結び付けるしくみが組織され、研究開発の成果である特許を他社にライセンスし、そこから得られるライセンス料をさらなる研究開発に投入してイノベーションが進行するというサイクルが、少なくとも1935年には作り出されたことを明らかにした。 日本企業を対象とした調査および分析では、本年度は自動車企業(B社)のエンジニアリング責任者へのヒアリング調査を行った。B社は多様な製品系列を有しており、本件ヒアリングでは外国向けピックアップトラック分野の担当者に対するヒアリングとなったため、当該部門では特許管理活動のウェイトが低いことが明らかとなった。特許管理がどのような影響を及ぼしているかが直接明らかになったわけではないが、この成果は、複合企業あるいは多角化企業の特許管理のあり方について分析を進める足掛かりとなった。
|
Research Products
(5 results)