2015 Fiscal Year Research-status Report
タイ企業との共創による日本中小企業の発展と組織・産業集積への影響プロセスの解明
Project/Area Number |
15K03707
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
関 智宏 同志社大学, 商学部, 准教授 (40434865)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中小企業 / ものづくり / 海外事業展開 / 産業集積 / プロセス / タイ / サプライヤー・システム / ケース・スタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の産業集積地域に立地し、かつタイに進出する中小企業を対象に、1)自社の発展プロセスの観点から、海外事業展開に伴う現地ローカル企業との関係構築とその成果を、また2)その関係構築に伴う、日本の拠点組織および立地する産業集積地域に与える影響プロセスを明らかにし、仮説構築(理論化)を試みることを目的としている。 上記の2つの研究課題のなかで、1)の検討課題では、おもにインタビュー調査による質的データを基にしたケース・スタディにより検討を進めた。それにより、タイにおけるローカル企業が、より付加価値の高い日本市場への販路開拓を実現していくためには、日本のものづくり中小企業の技術力を活用していくことが必要であるとの判断から、積極的に自身のサプライヤー・システムに日本のものづくり中小企業を参画させようとしており、これが日本のものづくり中小企業のタイでの事業展開のきっかけの1つにになっていることを明らかにした。 また2)の検討課題では、日本のものづくり中小企業の海外事業活動は、1つには、産業集積内のものづくり中小企業が海外事業活動の可能性(中小企業家が海外志向性)を得たこと、またもう1つには、自社が立地する産業集積地域の重要性を産業集積内のものづくり中小企業があらためて認識したこと、という2つのプラスの影響を日本の産業集積にもたらしたことを明らかにした。 以上みられるケース・スタディから得られた含意は、あまり知られていない中小企業の海外事業展開およびそれによる産業集積への影響のそれぞれのプロセスにかかる発見事実ではあるが、そのプロセスは多様であるとも考えられる。さらにケース・スタディを重ね、それらの多様なプロセスを明らかにしていく必要性が残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、タイでのインタビュー調査より得らえた質的データに基づくケース・スタディを研究方法の中心に据えているが、タイ経済の不調により、日本およびタイのローカル企業の経営者に対するインタビュー調査が次第に難しくなってきている。また学務などもあり、出張それ自体ができにくい状況になってきた。これらの理由および、当初予定していたアンケート調査の設計もできていないという理由から、現段階では、研究の進捗状況は、やや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
公務が日に日に多くなっており、海外出張ができにくい状況にあるが、夏から秋にかけた時期にまとまった日にちを確保し、海外出張を実現したい。 2016年度には、出張が実現したさいにはさらにケースを収集するとともに、2015年度にすると計画されていたアンケート調査の設計と実施を実現したい。
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