2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒューマンサービス施設人員の感情労働とレジリエンスに関する研究
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15K03710
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
高階 利徳 姫路獨協大学, 人間社会学群, 教授 (30351836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
開本 浩矢 兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (90275298)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 感情労働 / レジリエンス / 介護施設 / 離職 / 定着 / リテンション / ヒューマン・サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題の二年目となる。当該研究課題は、介護施設をはじめとするヒューマン・サービス施設人員の離職ないしは組織定着を研究の主題としている。従来この問題に関わらせて論じられることが少なかった「感情労働(Emotion Labor)」と「レジリエンス(Resilience)」という2つの概念を導入することに、本課題の独自性がある。そこで本年度は、概ね当初の研究計画の通り、本申請課題の目的に合致した質問票調査の作成のための文献渉猟に研究の力点を置いた。
文献渉猟については、介護施設人員のマネジメントに関する実証研究を広範に収集し、感情労働やレジリエンスの測定尺度の候補をある程度確定することが出来た。その際、経営学以外、例えば社会学・社会福祉学などの近接関連領域の学術論文については幅広く検討した。また尺度の妥当性・信頼性を検証するため、大学教員を対象とする内容にアレンジされた質問票を作成し、パイロット調査として実施した。これについては、ふたつの論文(高階利徳(2016a)「大学教員の感情労働に関する研究」『経済情報学研究』第88号および 高階利徳(2016b)「大学教員の職務ストレスとレジリエンス」『経済情報学研究』第89号)においてまとめられ、公表された。
また研究課題三年目以降に実施予定である本調査の、協力先の開拓に注力した。研究代表者および分担者からアクセス可能な介護施設関係者に、調査への協力依頼を行い、概ね了承を得ることが出来ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の研究計画では、本年度は先行研究の収集に基づく感情労働・レジリエンスの測定尺度確定が課題であった。
対象は大学教員ではあるが、感情労働・レジリエンス尺度の妥当性・信頼性を確認するパイロット調査を実施することが出来た。その結果は、上述論文にまとめられた。
したがって研究二年目は、概ね順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
大学教員を対象としたパイロット調査により、申請課題の分析枠組みをより的確に実証するために、既存の測定尺度の援用では適切でないことが示唆された。すなわち、ある程度下位因子の絞り込みを実施しなければ、仮説検証作業が過度に複雑化し、分析の収拾がつかなくなることが示唆されたのである。
この点は、更なる文献研究を実施することで、適切な測定尺度設定に結びつけたい。それが反映された質問票調査を配布・回収し、データを収集することが次年度の中核的な作業内容となる。
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Causes of Carryover |
当初の予定通りに執行したが、若干の誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算額を念頭に置きながら、計画的に執行する予定である。
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