2016 Fiscal Year Research-status Report
保険会社における経営戦略にかかる理論的研究-経済学的アプローチ-
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15K03727
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
大倉 真人 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (50346904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究年度2年目にあたる今年度における研究実績は、刊行した1本の論文および5回の学会・研究会における研究報告に集約することができる。そしてこれらの研究実績は、以下の3つの研究内容に分類することができる。 1つめは、後悔理論を用いた保険の需要分析である。具体的には、後悔理論を基礎とした上で、保険が正常財であるか劣等財であるかの研究を行うとともに、Raviv (1979)において示されたモデルを拡張することで、混合保険が現実社会において販売・購入されていることを正当化するための理論分析を実施した。 2つめは、賠償責任保険にかかる経済分析である。賠償責任保険の場合、保険事故発生時における損害額決定のための交渉が重要な位置を占めているが、この交渉にかかるコストを含めた経済分析を展開した。より具体的には、保険保護の程度(有限か無限か)、示談交渉サービスが賠償責任保険に付帯されているか否かといった点を包含した経済モデルを構築した上で、最適な小損害免責額にかかる検討を行った。 3つめは、損害防止努力を誘引するためのインセンティブシステムにかかる研究である。より具体的には、主観の入る余地がない金銭にて示される保険料割引と各保険契約者の主観が関連する(各個人によって高評価・低評価が分かれる)書籍価格の割引という2種類の割引インセンティブを考えた上で、いずれのインセンティブシステムの方がより望ましいかについての分析を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1本の論文を刊行し、5回の学会・研究会報告を行ったこともあり、「おおむね順調に進展」と評価している。ただし、今年度において行った研究報告の内容の全てを論文として雑誌に刊行するまでには至らなかったことから、「計画以上の進展」と呼べるほどの進捗状況には至っていないと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度において研究報告した研究の一部については、学会・研究会において十分なコメントが得られたと思われることから、これらのコメントを考慮した上で論文作成および雑誌への投稿に進む予定である。残りの一部については、さらなるコメントを得るべく、2017年7月30日から8月2日に開催されるAsia-Pacific Risk and Insurance Association 2017 annual conferenceにおいて研究報告する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、今年度参加した学会(Asia-Pacific Risk and Insurance Association 2016 annual conference)に要した諸費用(旅費、宿泊費等)が予定を下回ったことなどがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年7月30日から8月2日にポーランドで開催されるAsia-Pacific Risk and Insurance Association 2017 annual conferenceにおいて研究報告することが確定していることから、当該研究発表に伴う旅費等に使用することを計画している。
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