2015 Fiscal Year Research-status Report
グローバル市場におけるカスタマイゼーションの日米比較
Project/Area Number |
15K03736
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
遠藤 誠二 東海大学, 政治経済学部, 教授 (90609413)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カスタマイゼーション / カスタマイズ製品 / 伝統工芸品 / ファッション産業 / ジャパン・ブランド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、日本企業のカスタマイゼーション戦略に関する基礎的な情報の収集をおこなった。この調査は、次年度に本格的に進める米国企業によるカスタマイゼーション戦略の調査と分析をする準備として行われた。また、今年度にある程度の日本国内の調査を進めることができたので、アメリカ合衆国の調査も前倒しで進めることができた。具体的な主な成果は、研究の基礎段階ではあるが、以下の3点である: 1)日本国内での日本企業のカスタマイゼーション戦略に関する調査では、首都圏(アクセサリー産業)、四国(アクセサリー産業)、近畿(テキスタイル&着物産業)、東北(ホーム・ファッション産業)、北海道(ホーム・ファッション産業)の地域で調査をおこなった。その結果、ほとんどの企業は、カスタマイズ製品に関心があるが、カスタマイズ製品を開発・提案するよりも、標準化された製品のデザインや品質の向上に焦点を当てている傾向がみられた。特に、伝統工芸品を製造する企業は、伝統的デザインや伝統技術の向上を目指していた。 2)一方、アメリカ合衆国での米国企業のカスタマイゼーション戦略に関する調査では、西海岸(カルフォルニア州:アクセサリー産業と3次元プリンター産業)と東海岸(ニューヨーク州:小売産業とアクセサリー産業)地域の調査を行った。その結果、日本企業に比べ、米国企業の方が、カスタマイズ製品を提供しつつ、標準化された製品とカスタマイズ製品の組み合わせの可能性を模索する企業が多く見られた。 3)さらに、カスタマイゼーション戦略を進める上で重要なテクノロジーについても調査をおこなった。特に、製造現場においてプリンター技術の進化が注目された。また、新たなカスタマイズ製品開発の可能性としては、3Dプリンターからレーザー・カッター技術による様々な材料(例:皮、木材、合成樹脂など)を用いたカスタマイズ製品の可能性を模索する企業も存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の調査は、おおむね順調に進んでいる。様々な企業とその産業団体とのインタビューも順調に進み、非常に多くのデーターを入手することができた。一方で、そのデーターの分析に時間がかかってしまった。さらに、彼らとの日程調整などに非常に時間がかかり、予定通りのインタビューを行うことができなかった。今後は、この経験を生かし、効率的な調査を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、日本国の様々なファッション産業(ホーム・ファッション産業やアクセサリー産業などを含む)を中心に調査してきた。平成28年度は、アメリカ合衆国を中心に様々なファッション産業(フットウエアー産業やカバン産業など)を中心としたカスタマイズ製品を提供している企業とその産業団体を調査する予定である。さらに、日本国の企業とその産業団体への調査も継続して進める予定である。その調査結果をもとに、日米のカスタマイズ製品及び企業のカスタマイゼーション戦略の特性を分析し、今後の日本製品の海外展開の可能性について考察していく予定である。
特に、平成28年度以降は、平成27年度の調査結果をもとに、米国企業に比べて大手の日本企業のカスタマイズ製品の提供があまりなされていない現状から、日本国内においては、中小企業とその産業団体へのインタビューを中心に進めていく予定である。同時に、米国市場で活発化し始めた日本企業の動向を調査しつつ、ジャパン・ブランドの本格的な海外市場での展開の可能性についてさらなる調査を進めて行く予定である。また、以上の調査をもとに、随時、研究成果を論文と学会発表という形で報告する予定である。
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