2015 Fiscal Year Research-status Report
保険商品購買時のリスク認知に関する心理学とリスクマネジメントの統合的研究
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15K03740
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中林 真理子 明治大学, 商学部, 教授 (80308056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 美加 明治大学, 商学部, 教授 (90337204)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保険 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ローリスク保険商品購買時のリスク認知構造の検証」 研究初年度は、まずはこれまで行ってきた損害保険商品(自動車保険)と生命保険商品購買時のリスク認知に関する調査の結果を論文にまとめた。平成26年実施の自動車保険に関する調査結果は平成27年11月に『損害保険研究』に掲載された。生命保険については中林が2015年2月に行ったweb調査の分析結果を中林・佐々木の連名で、現在保険学の研究雑誌に投稿中である。これらの取り組みにより、これまでの研究成果を再検討し、新たに医療保険についての研究に着手する契機とした。 一般的な消費者を対象に、医療保険加入時にリスクと認知するであろうことを例示し、それらをどの程度深刻に不安と受け止めているかについてweb調査を行い、その結果を因子分析することから、比較的ローリスクの保険商品購買時のリスク認知構造について検討した。かつては医療保障への不安を感じる必要がなかったが、社会保障財源のひっ迫により、民間の医療保険と医療特約に対するニーズが一層高まっている。その反面、多様な保障が存在し、必要な保障を効率よく入手するには十分な知識が求められる。このような中で一般的な契約者が保険加入時に認識する最大の不安要因は、保険事故発生時に適切なサービスを迅速に受けられないこと、つまり、保険金を迅速に確実に受けとることができるかどうかの不安であるという点では、生命保険と変わらない。しかし、そのために契約者が求めるのは、安心感や信頼感のある有名な生命保険会社の商品を選択することより、より自分のニーズにあっていて事故発生時の対応が手厚い商品選択をすることとの結論を得た。 平成28年から29年にかけて、保険関係の国際学会でこれらの成果を報告し、世界各国の研究者と意見交換を行うためのプロポーザルを準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は生命保険に関する調査結果を平成27年に国際学会で報告する予定であったが、調査結果の分析に時間がかかり、報告を見送った。しかし、平成28年入り論文(中林真理子、佐々木美加「生命保険商品購買時のリスクの捉え方に関する一考察」)として『生命保険論集』に投稿するに至ったため、遅れはおおむね取り戻せたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年から29年度にかけて、平成27年に行った医療保険の関する調査の分析結果をもとに国際学会で報告をするとともに、意見交換を行う。それらの成果を、平成28年以降に実施するハイリスク保険商品・金融商品購買時のリスク認知構造の検討に活かしていく。 研究最終年度の平成29年には、これまでの研究をまとめ、保険商品購買時のリスク認知を根拠とした政策提言を行う。
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Causes of Carryover |
調査を行う上で、さらなる資料収集をする必要が生じ、調査の準備に時間がかかっているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料収集の目途が立ったので、平成27年度に行う予定であった研究計画を順次進める。
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Research Products
(3 results)