2015 Fiscal Year Research-status Report
ユーザー・コミュニティ創発の集合知と製品イノベーションに関する実証研究
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15K03743
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
片野 浩一 明星大学, 経営学部, 教授 (80387240)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ユーザー・コミュニティ / 初音ミク創作 / 社会ネットワーク分析 / 社会関係資本 / ユーザー参加型プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーザー・コミュニティが価値共創の苗床となり,ユーザー生成コンテンツの創発効果を促す条件とは何か。本研究では,ユーザー・コミュニティの中でも代表的な動画共有サイト「ニコニコ動画」に注目し,ボーカロイドソフトウェアを使用してユーザー生成コンテンツ(UGC)が創作・投稿されるユーザーの行動を社会ネットワーク分析から捉える。 具体的には、2015年8月にAPIデータを取得し、投稿作品の作者、再生回数、マイリスト登録数、カラオケ配信曲数などの情報から作品投稿を一次創作と二次創作に分けて、そのつながりを社会ネットワーク分析で解明し、特徴量の計算やコミュニティ分割を行った。 この結果、コンテンツの集合知がN次創作の連鎖として形成されるダイナミクスを可視的に確認できるとともに,ユーザーの創作活動を活発にする要因を探り,カラオケ配信のようなビジネス成果に結びつく要因を探索的に発見した。ニコニコ動画は,N 次創作が自由活発に行われるオープン型のコミュニティであり,一般化された互酬性と信頼が形成される橋渡し型社会関係資本の性格をもつ。一次創作から生まれるビジネス成果に関係するのは二次創作の活発な投稿であり,それには参加型プラットフォームにおいて多様性と共通性を統合するマネジメントが求められる示唆を導いた。また,オンライン・コミュニティならではの発表,尊敬,承認からもたらされる社会参加の姿も示唆された。 以上の成果を学会の雑誌と研究大会等で発表し、その中で日本マーケティング学会マーケティングカンファレンス2015における口頭発表で、学会賞(ベストペーパー賞)を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
必要なビッグデータを計画どおりに取得することができ、適切な分析手法を適用した結果、先行研究から一歩進める独創的な発見と知見を得ることができた。この研究成果を学会にて発表し、学会賞も受賞できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーザー・コミュニティの全体構造をある程度、解明することができたので、今後は、コミュニティ内の個々のユーザー行動について、フォーカス・グループインタビュー調査を行い、質的データ分析によって意識や行動特性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究と成果発表が順調に進んだため、28年度予定の研究計画を前倒しで進めることになり、これに必要な経費も前倒しで使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、前倒しで実施するフォーカスグループインタビュー調査の結果の精査と分析に十分な時間を充てる予定である。
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Research Products
(5 results)