2017 Fiscal Year Research-status Report

百貨店の競争構造とアパレル産業のグローバル化

Research Project

Project/Area Number	15K03751
Research Institution	Kansai University
Principal Investigator	藤岡里圭関西大学, 商学部, 教授 (00326480)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords	百貨店 / アパレル / グローバル / ファッション
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は、日本の百貨店の競争構造が、アパレル産業のグローバル化によって、どのように変化しているのかを検討することである。平成29年度は、グローバリゼーション下における百貨店の競争構造の変化を欧州の百貨店と比較しながら、以下のような研究を実施した。 ①平成28年度に続き、アパレル産業におけるグローバル化の実態を把握するため、文献調査に加え、グローバル展開しているアパレル企業、とりわけ生産工場の中国集中から新たな国際分業関係の構築へと移行している企業へのヒアリング調査を実施した。 ②ヨーロッパにおける百貨店の競争構造の変化を分析するため、既存研究の整理およびデータの収集を行った。また、イギリスの百貨店のアーカイブや百貨店資料がコレクションされている公共図書館において、資料収集を行った。 ③グローバル化とともに、主要な販売チャネルであった百貨店との取引関係を見直し、ファストファッションとの取引を開始した繊維企業や、直営店を国内外に開店することで新しい顧客を獲得してきたアパレル企業の事例を分析し、アパレル産業のグローバル化がどのように進展し、競争構造がいかに変化しているのかを解明した。その成果は、平成29年7月にオーストリアで開催されたGlobal Fashion Management Conferenceにて報告し、平成30年2月にManchester University Press から出版されたEuropean fashion：The creation of a global industryの第9章として公表された。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 本研究を開始する段階では確認できていなかった、日本のデニム・ジーンズ産業に関する研究を平成28年度に続き本格的に実施することができたのは、予想以上の成果であり、本研究を大きく前進させることにつながった。一方、当初予定していたスイスの百貨店やフランスの百貨店での調査は、申請時に準備を進めていた担当者が異動したことや企業を取り巻く環境の変化などにより、予定通り実施することが困難となり、研究計画の変更を余儀なくされた。しかし、国際会議にて、イギリスの百貨店や公共図書館のアーキビストらと交流できたことによって、新たな資料を発見したことは、研究計画の変更を最小限にとどめることができたうえ、今後の研究に大きく役立つと考えている。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると言えよう。
Strategy for Future Research Activity	平成30年度は本研究の最終年度であるため、文献や資料などの分析やヒアリング調査などの追加調査を行う。そして、これまでの研究成果に基づき、日本の百貨店の競争優位の源泉がどのように形成されてきたのか、またその構造はアパレル産業のグローバル化とともにどのように変化しているのかを明らかにし、百貨店の変革の方向性を理論的に導出する。また、本研究の成果を国内外の学会などで積極的に発信していきたい。現在のところ報告が確定しているのは、8月にアメリカ・ボストンで開催されるWorld Economic History Congressのみであるが、ヨーロッパや国内での報告も模索したい。そのうえで、これまでのカンファレンス・ペーパーを精緻化させた論文を国内外の学会誌に投稿する。
Causes of Carryover	平成29年9月までオランダ・エラスムス大学にて在外研究を行っていたため、ヨーロッパ内の移動にかかわる旅費を予定よりも縮小することができた。この分は、平成30年度、海外の学会での報告に要する旅費および追加調査のための旅費に充当したい。