2015 Fiscal Year Research-status Report
クロスモダール対応を考慮した店舗環境と消費者行動に関する研究
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15K03753
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
須永 努 関西学院大学, 商学部, 教授 (20438914)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マーケティング / 消費者行動 / 購買意思決定プロセス / クロスモダール対応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、第一に、論理的精緻化と理論の体系化を目指すという目的の下、関連する既存研究のレビューを行い、店舗内消費者行動におけるクロスモダール対応の適用可能性に関する研究仮説を導出した。第二に、複数回のインターネット調査と実験室実験を実施した。これは、製品および製品パッケージの色(明るさ)とそれらの陳列位置によるクロスモダール対応の一致/不一致が、店舗内の消費者行動へ影響を及ぼすのかを確認するための経験的研究である。収集したデータを用いて統計的分析を行い、構築した仮説の検証を行った結果、仮説支持的な結果が得られた。 具体的には、小売環境で商品が陳列される「位置」と製品またはパッケージの「色」の相互作用を明らかにした。空間における縦方向の位置(高さ)と色の明るさ(lightness)はともに、人間が知覚する(見た目の)重さと密接に関係している。そこから、製品カテゴリー、明るさのレベル、意思決定状況(消費者の心理的距離や目標)、および結果変数(重さの知覚、陳列棚の流暢性、選択、支払意思額)を変え、さまざまな角度からの調査・実験を実施した。分析の結果、これら2つの要因にシステマティックな影響を及ぼす効果のあることが確認できた。 これにより、近年、心理学および神経科学の領域で研究が進んでいるクロスモダール対応に関して、消費者購買意思決定研究への適用が一歩進んだといえる。また、インストア・マーケティングの実践に関して有益な示唆を提示することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度は、クロスモダール対応および店舗内消費者行動に関する既存研究の成果を整理することに加え、実験や調査を行って店舗内環境におけるクロスモダール対応研究の適用可能性を検証することを中心課題としたが、それらは概ね達成できたと考える。2015年度の実験・調査から導かれた研究成果は国際学会であるInstitute for Operations Research and the Management Sciences (INFORMS) Annual Meeting 2015において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、2015年度の調査・実験によって得られた成果を実際の店頭において確認するためのフィールド実験を中心に進める。フィールド実験は、その内的妥当性を高いものにするため店舗間比較を中心とした実験デザインを用いる予定である。そのため、実験に必要な店舗は複数になる。ここでは、店舗内の環境要素をコントロールした上で、売上、販売数量等の量的データを収集するとともに、質問紙調査も併せて実施する。この他、コンピュータを活用した質問紙実験を用いて収集したデータによる統計的分析を行うことに加え、アイトラッキング法といったプロセス跡付け法を用いて、視線の動きに基づく検証も行う予定である。
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Research Products
(3 results)