2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03761
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠田 朝也 北海道大学, 経済学研究科, 准教授 (50378428)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / 資本予算 / リスク管理 / 実証研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的は,資本予算におけるリスク管理の実態を明らかにしようとするものである。 本年度は,2つの点において,研究を進捗させることができた。まず,第1点目として,初年度から実施の準備を進めていた質問票調査を確実に実施することができた。この質問票調査は,資本予算に関連するリスク管理のなかでも,特に,投資評価時の定性的リスクに対する対応の状況,および,投資後の撤退に関する対応の状況に関する実務について把握することを目的に実施したものである。結果として,160社以上の企業からの回答を得ることができ,日本企業の当該実務に関する現状の一端を捉えることができた。 第2点目としては,前述の質問票調査の結果を踏まえた上で,その内容に言及する学術論文を1本提出することができた。概ねの傾向として明らかにすることができた点は,投資案件に関連するような定性的リスク項目について,多くの企業が検討しているが,その手続きが社内で公式化されていないケースが多いということ,および,8割程度の企業で,撤退基準が設定されていないということである。日本企業の実務の現状として,これらの事実については,これまでに明確には示されてきておらず,その点では,実務的にも,学術的にも,一定の意義がある結果を示すことができたものと考えられる。 このほかに,初年度に引き続き,資本予算における事業の撤退基準などの設計・構築について検討している企業に訪問調査を行うことができ,そのプロセスについて観察することができている。残念ながら,まだ仕組みの運用が開始されていないため,引き続き取り組みの進展に注視していく予定である。また,これとは別の企業において,投資案件の事後フォローに関する内部監査実務を実施していた事例についても話を聞く機会を得ることができた。この件についても,引き続いて翌年以降に,再調査を実施することとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
懸案であった質問票調査を無事に実施することができた。また,その調査結果に基づいた学術論文は,既に学術雑誌に掲載が確定している。初年度に公表した論文と合わせて,第2年度終了時点までで,関連する計2編の論文を作成しており,研究の進捗は,おおむね順調に進展しているものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度では,第2年度に実施した質問票調査の調査結果に基づいて,日本企業の定性的リスク管理と撤退判断に関する現状と課題について,論点を整理したうえで,さらに踏み込んだ分析を進める。また,当該調査結果を踏まえた上で,企業への訪問調査や,関連資料の収集・検討などに取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度までに実施を検討していた学会等での研究報告を,次年度に実施することとしたため。特に,次年度に日本管理会計学会からの報告依頼を受けることとなり,一部の計画に変更が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会から報告依頼を受けた研究報告を次年度に実施することが既に決定しており,その研究報告に際して,直接関連する経費,および,準備のために必要となる経費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)