2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical research on risk management in capital budgeting
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15K03761
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠田 朝也 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (50378428)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / 資本予算 / リスク管理 / 実証研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的は,資本予算におけるリスク管理の実態を実証的に明らかにしようとするものである。 本年度は,企業価値評価を行う際に用いるDCF(Discounted Cash Flow)法に関する事例研究を論文として公表することができた。当該論文は,DCF法の運用事例について検討したものであるが,特に,将来の倒産リスクを考慮した継続価値の算定に焦点を当てているところに特徴がある。 通常,DCF法を利用して企業価値評価を行う場合,将来のキャッシュフローを長期間にわたり予測する必要があるが,実際に直接的にキャッシュフローを予測することのできる期間は限られている。継続価値とは,キャッシュフローを直接的に予測した期間よりも,さらに先の期間に実現すると予測される経済的価値のことであり,通常は,直接的に予測した最終年度のキャッシュフローが一定の成長率または減少率で継続するといった前提に基づいて簡便的に計算される。しかし,この方法で算定される継続価値は過大に評価されやすく,さらに,DCF法で算定される企業価値のうち継続価値の占める割合が大きくなることも多いため,特に実務上,適切な継続価値の算定が課題となっている。 そこで当研究では,税理士法人池脇会計事務所グループのコンサルティング部門による継続価値の算定に関する実務実践に注目した。ここでは,DCF法を用いる際に,3つの方法を用いて,多面的かつ総合的に企業価値を算定していた。3つの方法とは,(1)直接的な見積期間のみの企業価値評価額,(2)継続価値を考盧した企業価値評価額(通常の企業価値),(3)倒産リスクを考慮して調整計算された継続価値による企業価値評価額である。 このように,多角的に企業価値評価を行う事例の詳細を整理し,共有することには,実務上のみならず,学術上も,継続価値の算定に関する課題を検討するうえで一定の意義があるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)