2016 Fiscal Year Research-status Report
会計情報とコーポレートガバナンス-リスク・テイクとR&D投資を中心に
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15K03764
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
野間 幹晴 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (80347286)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 退職給付に係る負債 / 内部負債 / 損失回避 / 研究開発 / 配当政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は次の5つの研究実績がある。第1に、「退職給付に係る負債と研究開発活動」『會計』第190巻第2号,2016年8月号,69-82頁を公表した。本研究は退職給付に係る負債が大きいほど、損失を回避するために研究開発投資を削減する傾向があることを明らかにした。 第2に、2016年9月12日にグランシップで開催された日本会計研究学会で「配当政策と退職給付に係る負債」を発表した。本研究発表では、退職給付に係る負債が大きいほど配当を支払わなくなる傾向があることを実証的に解明した。 第3に、2016年10月9日に武蔵大学で開催された日本経営財務研究学会で「現金保有と退職給付に係る負債」を発表した。本研究発表では、退職給付に係る負債が大きいほど、黒字企業の場合でも配当性向が低下することを明らかにした。第2と第3の研究結果は、退職対照表に計上された退職給付に係る負債により、日本企業が配当を通じた株主還元に消極的になっていることを示唆する。 第4に、2016年7月15日にオーストラリアのシドニーで開催されたFMA Asia/Pacific Conferenceで、"The Long-Term Stability of Corporate Capital Structure: Evidence from Japanese Firms"を発表した。本研究ではレバレッジ水準に安定性があることを示した。 第5に、2016年8月10日に米国のニューヨークで開催されたAmerican Accounting Associationで"Forecast Accuracy and Value Relevance by Firm Size- A Comparison of Management and Analyst Forecasts"を発表した。本研究では経営者予想とアナリスト予想について実証分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度には、学会発表を4件、1本の論文公表を行った。これを元に、平成29年度に少なくとも1本の論文公表、4件の学会報告を行う予定であり、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、退職給付に係る負債が現金保有に与える影響、退職給付に係る負債が配当政策に与える影響、退職給付に係る負債がM&Aに与える影響などについて実証研究を行い、学会等での報告後に論文を公表する予定である。
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Research Products
(5 results)