2016 Fiscal Year Research-status Report
海外地域統括会社に関するグローバルな事業評価システムの実証研究
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15K03765
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
溝口 周二 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 名誉教授 (30200033)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マネジメント・コントロール / 地域統括会社 / 事業評価システム |
Outline of Annual Research Achievements |
「海外地域統括会社に関するグローバルな事業評価システムの実証研究」のテーマで、28年度はグローバル企業としてNTTグループを取り上げた。NTTグループにおける事業評価研究会に参加し、富士ゼロックス株式会社、オムロン株式会社にインタビュー、質疑応答を実施した。 各社が抱える海外子会社の経営は、宗教や習慣などの地域特性、財務環境、市場に於ける競争条件、政府及び地方自治体との関係など多様な条件に依存し、中央集権的な本社からの固定的で一律のマネジメント・コントロールでは経営が適切に機能しないことが明らかになった。 平成28年6月22日から25日まで釜山大学で開催されたユ-ロアジ-学会に参加した。15年来共同研究を続けているフランスのポー大学、ツールーズ大学、ポワチエ大学の経営学者と日仏に於けるマネジメント・コントロール・システムの相違及びこれを具体的にアジア地域で実行するための仕掛けとして地域統括会社の仕組について議論した。結果として日仏からの地域的距離によるマネジメントの密着度の相違が、マネジメント・コントロール・システムの相違の主要な一因となっていることがわかった。 しかし、日系企業は北米や欧州などの地理的に離れた子会社でも、仏企業とは異なり、経営管理者の派遣を頻繁に行っており、日本企業に於ける地域統括会社の経営は仏のそれとは根本的に異なる要因があると仮定される。今後の研究はこれを追求することになろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度実績に述べたとおりである。フランスの研究者との打ち合わせは、こちらから11月にフランスに出張し、その情報・資料を踏まえて12月にはフランスの研究者が来日してその成果を議論した。これが29年の6月にパルマ大学で開催されるユーロアジー学会で発表される予定である。 インタビュー対象としてさらに東芝を考えていたが、諸般の事情で困難になり、インタビュー対象会社が計画よりも若干減ってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
標記のテーマに関する今後の方向としては2つ考えている。 1つは、先述したように、日系企業は北米や欧州などの地理的に離れた子会社でも、仏企業とは異なり、経営管理者の派遣を頻繁に行っており、日本企業に於ける地域統括会社の経営は仏のそれとは根本的に異なる要因があると仮定される。今後の研究はこれを追求することになろう。 もう一つは、上記の仮定を裏付けるようなインタビュー結果が得られるかどうかである。日系子会社の本社における海外事業戦略担当者にインタビューを行う必要がある。
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Causes of Carryover |
・毎年参加して、研究発表しているユーロアジー学会が2016年度は韓国の釜山大学で実施 され、ヨーロッパでの開催よりも旅費が少なかった。 ・日系海外子会社のインタビューが親会社の都合でできなくなり、海外出張費予定額に至 らなかった。 ・結果として、海外出張費が予定より過小であったために次年度使用額が42万円余となっ た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・今年度は海外出張としてパルマ大学での学会、ポー大学での打ち合わせ、東南アジアで のインタビューなどを予定している。
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