2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03771
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西谷 公孝 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (30549746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國部 克彦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70225407)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 統合報告 / サステナビリティ情報開示 |
Outline of Annual Research Achievements |
文献レビュー:財務情報とサステナビリティ情報を統合させることの必要性を探っている研究はこれまでにいくつかあるものの、統合報告そのものを学術的に分析している研究は少ない。一方で、サステナビリティ情報に関する理論的実証的研究はかなり蓄積されているために、そこから統合報告に応用可能な文献のレビューを重点的に行った。 意見交換:統合報告のあり方とその普及の可能性を多角的に研究するために、統合報告研究の世界的な第一人者であるロンドン大学のJ. ユナマン教授と研究プランについて定期的に意見交換を行った。 データ入手:研究対象となる日英それぞれ時価総額上位100社(英国のFTSE100社に対応)の2011-2014年の統合報告、財務情報、環境情報に関するデータを入手した。 実証分析:どのような属性を持った企業が統合報告の実務を早期に開始しているのかについて実証分析を行った。その結果、日本においては環境パフォーマンスの良い企業ほど早期に統合報告の実務を開始している一方で、英国では企業の環境パフォーマンスと統合報告の実務の開始には統計的に有意な相関関係はないことが明らかとなった。また、産業別に見た場合、日本においては環境負荷が低いと考えられている産業では環境パフォーマンスの良い企業ほど早期に統合報告の実務を開始している一方で環境負荷が高いと考えられている産業では環境パフォーマンスの悪い企業ほど早期に統合報告の実務を開始していること、また、英国においても環境負荷が高いと考えられている産業では環境パフォーマンスの悪い企業ほど早期に統合報告の実務を開始していることが明らかとなった。すなわち、同じ国の企業においても置かれている状況によって結果が異なっている。今後、この結果をベースに更なる検証を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、統合報告の内容、規定要因、財・証券市場への効果を実証分析することを主な目的としているが、現時点での進捗状況は以下のとおりである。 規定要因の分析:パイロット版を国際学会で報告しそこで得られたフィードバックをもとに改訂を行った。 内容分析:データを入手し統合報告の記述内容が分析可能となるようフォーマットを整えている。 財・証券市場への効果の分析:規定要因の分析の結果をもとに分析の方向性を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的なインプリケーションを提供するために以下のように研究を推進していく。 引き続き実証分析を行い、提起したそれぞれの問題を明らかにしていく。 Asia Pacific Interdisciplinary Research in Accounting Conferenceなどの国際学会で進行中の研究の報告を行う。 引き続き、ロンドン大学のJ. ユナマン教授と定期的に意見交換を行う。
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Causes of Carryover |
査読付きジャーナルに投稿する複数の論文の英文校閲費に加え、海外研究協力者とより綿密に定期的な打ち合わせをする必要が生じたことからそのための旅費として次年度に繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ディスカッションペーパーにまとめたものをジャーナルに投稿する際の英文校閲費や海外研究協力者との打ち合わせのための旅費として使用する。
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Research Products
(4 results)