2016 Fiscal Year Research-status Report
のれんの有用性に関する実証研究~日米欧比較を通じて~
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15K03776
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
上野 雄史 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (40405147)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | のれん / 減損 / M&A |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては平成27年度に行った「のれん」の減損実態に関して引き続き調査を行った。「のれん」は現在の会計基準設定における議論の中で、ホットイッシュ―であり、研究も盛んにおこなわれている分野である。平成28年度、注力したのは前回検証した海外比較の分析の見直しと新規ケースの分析である。ソフトバンクがARM社を買収するなど、わが国におけるM&Aの件数および金額は増加傾向にある。一方で、東芝の事例でも分かるように、M&A後に予想していたシナジー効果が発現できず、のれんを減損させてしまうケースも多くみられるようになった。平成28年度においては、いくつかの新規事例を通じて、「のれん」減損実態の調査を行い、論文、書籍にまとめた。論文(海外プロシーディングス)としては、the 1st international conference of Economics, Business and Accountingのカンファレス内で報告し、今後の研究改善について、Macquarie大学のChris Patelから、ケースではなくデータをより多く集めて実証分析することの必要性、検証方法の明確化、先行研究との差分の明確化などの指摘を受けた。また書籍については、「M&Aの会計戦略」というタイトルで執筆しており(現在校正中)、この中では新規のケースを取り上げるとともに、企業経営の観点から見て「のれん」の管理を如何にすべきかについて論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で次のフェーズに進むための情報は集めており、本年度はそれをまとめて行きたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度においては新規のケースを集めるとともに、データをより広範囲で集め実証分析するためのデータ作成を目指す。ただし、M&Aは個別性が強く、実証分析に適さない可能性もある。その場合は、ケースでまとめることになるが、その際のメソッドについてもケースメソッドの関連文献を収集しており、他の研究者からの助力も得ながら実行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画上での支出の関係で、若干の差額が生じ、繰越額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、この繰越額も含めて計画的に使用する予定である(少額のため、全体の計画に変更はない)。
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