2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical research on internal audit function in corporate governance
Project/Area Number |
15K03783
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
矢澤 憲一 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70406817)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 内部監査 / 外部監査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、わが国コーポレート・ガバナンスにおける内部監査の機能を理論的および実証的に明らかにすることである。本研究の成果の概要は以下の通りである。 第一に、内部監査機能の理論的な考え方と課題を明らかにするため、文献・実態調査、関係者とのディスカッション、そしてこれらに基づく検討を実施した。その結果、下記のことが明らかになった。内部監査は、情報の保証(アシュアランス)機能と助言(コンサルティング)機能を有し、これらの異なる目的をいかに果たすかが内部監査の課題となる。また、内部監査の機能の特徴・課題として、①法令により強制されるものではなく、企業の自発性に基づくものであること、②会計不正の問題を受け、近年では特に監視(モニタリング)機能が重視されていること、③それに伴い、ガバナンス責任者(TCWG)および会計監査人との連携が求められていること、連携にあたっては、それぞれの目的と手段の明確化がまず必要であり、そこから三者間の効果的、効率的な連携のあり方を検討することが必要となる。 第二に、上記の理論的な検討に基づき、検証仮説を導出し、内部監査に関する統合データベースを作成し、当該データベースを用いて実証的な検証を行った。その結果、下記のことが明らかになった。①企業が内部監査にどの程度資源を配分するか(=内部監査コスト)は、当該企業の規模、複雑性、リスク、その他企業特性が影響する、②内部監査コストと外部監査コストは正の関連性がある、③経営者の継続年数(特に10年超)が内部監査コストに負の影響を与える、④社外取締役が多い企業ほど、内部監査の機能が充実している、④内部監査の充実度は、外部監査コストの決定に影響を与えない、⑤内部監査と外部監査の連携の程度は、外部監査コストの決定に影響を与えない。 これらの理論的、実証的成果は、学術的、実務的に有意義な知見を提供するものである。
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Research Products
(5 results)