2016 Fiscal Year Research-status Report
地域バイオマスを活用した食料産業クラスター事業を評価する会計システムの研究
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15K03788
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
金藤 正直 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (10451478)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境政策 / バイオマス / 食料産業政策 / 産業クラスター / サステナビリティ思考 / 評価マップ / 意思決定カード / バランス・スコアカード |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究実施計画に基づいて、以下の3点に関する研究・調査の取組みを行った。 まず1つ目は、十勝地域で展開されているフードバレーとかちのコーディネーター組織である帯広市の事業担当者に対して数回ヒアリング調査を行い、この調査結果と同市提供の関連資料、そして、帯広市図書館で収集した新聞記事に基づいて、フードバレーとかちのコア事業となっている十勝型フードシステムの構築とバイオマス事業との融合による統合事業モデルに関する現状と課題について整理した。 2つ目は、主に国連のSDGs資料と、サステナビリティ戦略、サステナビリティ・サプライチェーン、産業クラスター、マネジメント・コントロール、バランス・スコアカードの著書と論文の考察を通じて、先述の統合事業モデルに基づく想定シナリオとそれを評価する会計モデルを検討した。ここでは、事業関係者(特に、コーディネーター組織でもある帯広市)が、このシナリオの評価に有用と考えられる評価項目および評価データと、これらを用いて新たな事業化を論理的に検討することができる会計モデル(地域レベルのバランス・スコアカードモデル)とともに、このモデルに基づいて、評価マップおよび意思決定カードを用いたシステム化の方向性を明らかにした。 そして最後に、3つ目は、バイオマス産業都市に選定され、十勝地域など他のフードバレーの取組みを参考にして事業展開し始めた新潟市のニューフードバレーの事業担当者に対してヒアリング調査を行い、この調査結果と同市提供の関連資料から、先述のシナリオや会計モデルの同市への応用可能性を明らかにした。 以上の研究・調査の取組成果の一部は、今年度国内で刊行された研究論文とディスカッション・ペーパー、そして、海外の学会報告にも利用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、平成27 年度での研究成果を参考にしながら、十勝の地域特性を考慮に入れた新たな事業展開のための想定シナリオと、同シナリオの評価や検討を支援する会計モデル、そして、これらの他地域への応用可能性について検討することができた。 しかし、会計モデルの評価データを用いた現状対シナリオ、またはシナリオ対シナリオの評価や検討ができていないことや、想定シナリオを用いた事業担当者との打ち合わせが十分にできていないことから、より一層実効性の高いモデル構築までは検討できていない。 以上から、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、研究実施計画に基づいて研究・調査を進めていくが、まずは、今年度十分に検討できなかった想定シナリオに関する事業担当者との打ち合わせや、同シナリオの評価や検討の方法を検討していく。 次に、今年度構築した会計モデルについては、その実用性やシステム化の方向性を明らかにするために、十勝地域や新潟市におけるフードバレーの事業担当者へのヒアリング調査と現地調査を実施し、このモデルを検討してもらう。また、検討後に明らかにされる利点や問題点を参考にしながら、より一層実践的に適用可能なモデルにする。さらに、このモデルに基づいたシステム化の作業においては、マイクロソフト(Microsoft)のソフトウェア(エクセル、アクセス、ビジオなど)を用いて行っていくが、その仕様については、フードバレーの事業担当者の意見を参考にしながら改良していく。 以上の研究・調査の取組成果の一部は、今年度と同じように、国内外で開催される学会や研究会、また、現在所属している学会の学会誌や大学・大学院の紀要を通じて発信する。
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Causes of Carryover |
3月6日の出張に係る証憑書類の整備に時間を要し、当該旅費の精算を次年度に行うことになったために、使用額が生じた。しかし、研究・調査は計画通り進行しており、すべての書類も提出済みであることから、問題はない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まず、フードバレーとかちでの新たな事業展開のための想定シナリオの加筆修正や新潟市への展開可能性を検討するにあたっては、そのための諸文献(著書、論文、報告書、新聞記事など)の購入および印刷に関する費用が必要となる。次に、より一層実効性の高い統合事業モデルや会計システムモデルの構築にあたっては、今年度と同じように、フードバレーの事業担当者に数回訪問し、想定シナリオや会計システムを用いた打ち合わせを行うための旅費とともに、事業担当者との打ち合わせに基づいて検討したシナリオ整理とシステム構築のための協力者に対する謝金が必要となる。以上の研究・調査の取組成果の一部は、国内外の研究論文や学会報告で公表していくが、そのためには、論文作成に要する諸文献の購入費と印刷費、そして、学会報告会場までの旅費が必要になる。
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Research Products
(6 results)