2015 Fiscal Year Research-status Report
全社的リスクマネジメントのための管理会計指標に関する実証研究
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15K03796
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河合 隆治 同志社大学, 商学部, 准教授 (30368386)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 業績指標 / 財務情報 / 非財務情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、事業リスクマネジメントの観点から管理会計指標がどのような役割を果たすのかについて整理を行ったうえで、実務においてどのように事業リスクが測定され、評価されているのかについて明らかにすることを目的にしている。 本年度は、管理会計指標の特性および企業を取り巻く事業リスクおよび事業リスクマネジメントに関する検討を行った。具体的には以下の3点からアプローチした。 第一に、管理会計指標に関する指標特性に関する検討を行った。「企業全体の収益性」、「各部署のコスト効率性」、「顧客」、「生産業務」、「品質」、「提携業務」、「研究開発」、「従業員」、「環境対策」、「社会的評価」といった10の測定対象について、「測定対象の計測度」、「測定対象の重要度」、「業績指標の測定コスト」、「業績指標の感度」、「業績指標のノイズ」の5つの指標特性にどの程度の違いがあるのかについて論じた。この成果については、すでに査読審査済みであり、『原価計算研究』第40巻第2号に掲載予定である。 第二に、業績測定およびリスクマネジメントを支えるマネジメント・コントロールに関する近年公刊されているわが国管理会計雑誌の論文について整理し、文献分析を行った。具体的には、近年のわが国の管理会計研究で議論されている内容と管理会計領域において強い影響力があるAnthony、Merchant、Simonsといったマネジメント・コントロールのフレームワークとの関連性を明らかにするために,書誌学的方法を採用した管理会計研究を参照しながら,文献分析を実施した。その成果の一部については、すでに査読審査済みであり、『原価計算研究』第40巻第2号に掲載予定である。 第三に、管理会計領域において、リスクについての研究が蓄積されている組織間におけるマネジメント・コントロールについても研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究実績の概要に記述したように、先行文献の検討を広範に展開することができており、その一部については、管理会計領域の査読付き雑誌に掲載が決定している。このことからおおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の先行文献に基づいた概念整理をさらに進展させ、全社的リスクマネジメントに関する検討を行っていく。こうした検討を踏まえて、具体的に質問票調査の分析フレームワークおよび調査で明らかに仮説を設定していく。
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