2016 Fiscal Year Research-status Report
全社的リスクマネジメントのための管理会計指標に関する実証研究
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15K03796
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河合 隆治 同志社大学, 商学部, 准教授 (30368386)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 業績指標 / リスク管理指標 / 財務情報 / 非財務情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、事業リスクマネジメントの観点から管理会計指標がどのような役割を果たしているのかについて、先行研究に基づいた学術的な整理を行ったうえで、わが国企業を対象した調査を通じて明らかにすることである。つまり、わが国企業において事業リスクがどのように測定され、評価しているのかについて実態把握を行う。 本年度は、まず、前年度に引き続き、全社的リスクマネジメントに関する概念整理を継続した。具体的には、管理会計領域における全社的リスクマネジメントに関する先行研究の文献渉猟を網羅的に行っており、その内容についてのレビュー論文を執筆中である。これと並行して本研究に関する質問票調査の分析フレームワークについて、管理会計領域の海外研究者から意見を聴取し、それらのアドバイスに基づいて分析フレームワークの精緻化を図った。 また業績測定およびリスクマネジメントを支えるマネジメント・コントロールに関する文献分析を前年度に引き続き実施した。その研究成果の一部については、論文を執筆し、国内学術雑誌へ投稿しており、現在査読中である。 加えて、組織間取引におけるリスクマネジメントを行う際に、企業内部で測定された管理会計情報がどのように役立っているのかについても検討を進めている。この研究成果の一部については、Manufacturing Accounting Research Conference、アメリカ会計学会管理会計部会において学会報告を行い、論文を執筆し、海外学術雑誌へ投稿しており、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に関する分析フレームワークの検討、調査質問票設計、および調査先の特定についてはおおむね順調に進んでいる。やや遅れていると評価した理由としては、現在、オランダにて在外研究を行っているために、わが国における質問票調査を実施することが実務的に困難であることである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在オランダに居住しているために、わが国企業を対象とした質問票調査の実施が実務的に困難な状況である。これについては在外研究終了後、速やかに質問票調査を実施する。そのため、現在はおもに海外の質問票調査を利用した研究を調査し、質問票のデザインや質問項目について集中的に調査し、帰国後の質問票調査の実施に利用できる基礎的資料を作成している。 ヨーロッパにおいて在外研究を行っているために、管理会計領域において国際的に高く評価されている研究者と交流できる環境下にある。この環境を最大限に生かし、背景となる理論や仮説についてさらに深く検討していく。また分析フレームワークおよび調査質問票の内容についてアドバイスを頂きながら、分析フレームワークや調査質問票を改訂することにより、研究の精緻化を図っていく。
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Causes of Carryover |
昨年9月から在外研究のため、オーストラリア(メルボルン)およびオランダ(アムステルダム)に滞在しており、本務校から離れていたために、慣れない環境下で研究費の執行がし難い状況にあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度末に国際学会での報告が2件採用されたために、学会報告に必要な旅費にこの次年度使用額を充てる。
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