2015 Fiscal Year Research-status Report
資本性金融商品の実態調査・分析に基づく貸方区分の再定義に関する研究
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15K03799
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
山下 克之 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (00546955)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 会計学 / 新株予約権 / 種類株式 / ストック・オプション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,資本性金融商品に関する先行研究,会社法,会計基準等の資料収集をした。そして,ストック・オプション,株式報酬型ストック・オプション,種類株式に関して研究者との意見交換を行い研究を進め,一部の内容については学会,研究会報告を行った。成果については論文にまとめ公表をした。具体的には,おもに以下の3つの観点に拠り研究を進めた。 1.ストック・オプションに関しては,先行研究,資料収集を進める中で,子会社の役員等へのストック・オプション付与において会計基準上と会社法上の扱いに相違が生じていることの重要性を認識した。そして,会社法上の論点,会計基準上での問題点について整理を行い,それらを踏まえ,特に役務提供とそれに伴い付与されるストック・オプションとの対価性の観点より,ストック・オプションの会計基準についての考察を行った。この研究成果は論文にまとめ公表をした。 2.資本性金融商品としての特性を持つ株式報酬型ストック・オプションについても研究を進めた。この研究を進めるなかで,株式報酬型ストック・オプションのみならず通常のストック・オプションについても,権利確定前後で金融商品としての性質が変化することに着目をすることになった。そして,現行の会計処理について再検討を行い,2015年9月の学会で報告をした。 3.種類株式についても研究を進めた。種類株式の会社法及び上場基準での扱いについて整理を行った。さらに,上場企業における種類株式の発行事例の調査を行った。いわゆるアベノミクスの日本再興戦略に盛り込まれた「伊藤レポート」では,8%以上のROEにすることが求められているが,ROE算出上の分母の定義が日本基準と国際基準等と相違しており,負債・資本の区分変更に伴うROEへの影響について考察を行った。この研究成果を2015年5月の研究会で報告をし,意見交換を踏まえ論文にまとめ公表をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初研究成果の一部を学会,研究会で報告し,論文にまとめ公表をした。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の研究会,学会で研究成果を発表することを通じて論文の完成度を上げ,国際的な学会で報告を行う。さらに,海外学術雑誌における研究成果の発表を目指す。
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Causes of Carryover |
平成27年度は,研究を行うにあたり,おもに国内の資料取集を中心に行った。これら資料は無料の公開データにて,経費を抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度以降は,おもに以下の研究で前年度までに使用しなかった経費の発生を見込んでいる。1)未公開企業のデータ収集を予定しており,データの収集及び整理に伴う経費。2)一部の研究内容について,海外の研究集会への投稿,参加を計画をしており,それに伴う経費。
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