2018 Fiscal Year Annual Research Report
Descriptive analysis of environmental reports using text mining technique
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15K03802
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
前田 利之 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (70320041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中條 良美 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (00387383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境報告書 / 対応分析 / テキストマイニング / CSR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境報告書に記載されたトップメッセージに対して、対応分析などによるテキストマイニングを行い、環境保全コスト率の高さと出現頻度するキーワードとの関係を検証した。分析結果から、環境コストを多く支出する企業は、社会とともにCSRや環境問題に対して重大な関心を持ち、新製品の開発や環境対応製品の事業化など積極的な活動を行っており、支出が少ない企業群は、環境関連活動に具体的な目標を持たず、経営改善の一環としてCSR活動を行っている傾向にあることが観察された。時系列による変化では、CSRの概念の普及に伴って、環境報告書の経営者のメッセージの焦点が地球温暖化対策を中心とした環境問題から環境対応を含むCSR経営へ大きく変化している。このことは企業による環境活動が社会的責任を果たす活動として広く認知され、環境報告書が企業の広報媒体として活用されるようになってきたといえる。さらに、近年の環境対応製品の事業化により、企業の「環境への対応」の動機と目的は更に複雑化しているといえ、この研究に企業や産業の知識だけではなく、社会や地域といったより広範な知識の重要性が増してきているといえる。それらの結果から、12年間のトップメッセージのテキスト分析を環境コストの金額という定量的な情報と結び付けてやることで、環境に対する企業の姿勢を直観的な形で浮かび上がらせる。という当初の研究目標は達成することができたといえる。 しかし、分析対象となったのは僅か10種の産業であり、分析を行っていない産業は数多く存在すること。そして産業ごとの企業数も少ないため産業内での比較分析も不完全であることから、未だ投資要因の全容の解明には至っているとはいえない。更なる時系列分析を行うために大幅な資料の拡充は必要不可欠であると言える。
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