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2017 Fiscal Year Research-status Report

欧州版IAS/IFRSの規制力と分権型エンフォースメントに関する研究

Research Project

Project/Area Number 15K03809
Research InstitutionKyushu Institute of Information Sciences

Principal Investigator

木下 勝一  九州情報大学, 経営情報学部, 教授 (40018643)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords欧州IAS命令 / エンフォースメントメカニズム / 会計統制法 / 会計監査人監視法 / ドイツの分権型モデル / ドイツ公私協働型モデル / ドイツ財務報告エンフォーメントパネル / ドイツ公認会計士会
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度の研究は、欧州IAS命令を継受して、ドイツの会計統制法と会計監査人監視法のもとで構築された二系統のエンフォースメントメカニズムに関する論考を行った。その内容は、前年度までに研究してきた、「ドイツ財務報告エンフォースメントパネルと連邦金融サービス監督機構」のエンフォースメントの二段階体制を明らかにしたうえで、さらに、「ドイツ公認会計士会と会計監査人監視機構」のエンフォースメントの二段階体制を考察した。この二系統のエンフォースメント体制について、欧州加盟国における分権型の枠組みで構築されたことがどのような意義をもつものであったかを、本年度の研究として考究した。欧州において、欧州版IAS/IFRSのエンドースメントがグローバリゼーションのなかで単一の会計基準形成を進める一方において、欧州連合加盟国における立法選択権のもとで、欧州法のなかで全体として承認するという政治的妥協が図られながら、欧州統合が進められてきたという現実がある。これは、欧州におけるグローバリゼーションとナショナリズムの相克と捉えられるものである。本研究では、この欧州におけるグローバリゼーションとナショナリズムの相克のもとで、分権型の欧州版IAS/IFRSのドイツ法への内部化が実施され、そのなかでの「規範の実効性のある執行」として、ドイツの二段階方式のエンフォースメントメカニズムが構築されたことを意味している。平成29年度の研究は、「規範の実効性のある執行」に関して、とくに、「会計監査人監視」という視点からの考究を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題にかんして、申請内容にしたがって4年間の計画にもとづき、平成29年度の探求作業をほぼ順調に達成することができた。欧州版のIAS/IFRSのエンドースメントの結果を受けて、ドイツ国内の会計法整備を進め、分権型のエンフォースメントメカニズムを公私協働システムの枠組みのなかで成立させたことを解明した。すなわち、第一に、「ドイツ財務報告エンフォースメントパネルー連邦金融サービス監督機構」と「ドイツ公認会計士会ー会計監査人監視機構」という重層構造が立法化されたこと、第二に、この二系列の重層構造おもとで、欧州版IAS/IFRSの実効性のある執行が担保され、欧州資本市場におけるドイツ上場企業の「財務報告の信頼性」の体制保証が法的レベルで確保されたことを本年度の研究で明らかにすることができた。この意味で、研究の進捗度が「おおむね順調に進展した」と考えている。

Strategy for Future Research Activity

平成30年度が本研究計画の最終年度である。平成29年度までの3年間にわたる研究の総括的な論考を行う。欧州とドイツのなかで、グローバリゼーションとナショナリズムの相克が、どのようなかたちで具象化しているかについて、欧州版IAS/IFRSのエンフォースメントメカニズムの分権型システムの構築とその実効性を検証する取りまとめを行うことが最終年度の課題であると考えている。このため、2002年の欧州IAS命令と2003年の連邦政府の10項目行動計画の関係、そして、連邦政府の10項目行動計画にもとづく、ドイツの会計法改革の現実的意義、分権型のエンフォースメントメカニズムの役割と本質的な意義について、総括的な研究成果を纏め上げる予定である。そのうえで、科研費の研究成果出版助成による専門書の公刊を行いたいと考えている。

Causes of Carryover

(理由)
平成29年度の研究計画で、研究テーマにかんする関連図書を購入できたが、その一方において、調査旅費の執行については、大学における学部と大学院の講義および論文指導に負担が予定していた以上に大きくなってしまい、そのため、日程の調整がつかず、資料収集と情報交換の機会を逸してしまった。このため、出張が計画的に実施できず、旅費の執行額がゼロとなっている。最終年度における予算執行を計画的に実施し、研究を遂行していきたいと考えている。
(使用計画)
平成30年度は、欧州とドイツのエンフォースメント関連の図書を引き続き購入することを重点におきつつ、他大学および公立の図書館、国会図書館、学会、研究会等における情報・収集作業に、さらに、ドイツ研究者との意見交換を実施するために必要な調査出張を予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] ドイツにおける会計監査人の監査業務監視の規制改革2018

    • Author(s)
      木下勝一
    • Journal Title

      会計・監査ジャーナル

      Volume: 752号 Pages: 134-139

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] ドイツの「会計監査人監視機構」のガバナンスの実効性に関する論点2018

    • Author(s)
      木下勝一
    • Journal Title

      会計

      Volume: 193巻4号 Pages: 38-50

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2018-12-17  

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