2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03817
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
左古 輝人 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90453034)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 近世英国 / 社会 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
資料の電子化をほぼ終えた。コーパスは約150点の印刷物の本文テキストを電子化した、約26万行からなるものである。多くはEarly English Books Onlineから得た。10%程度はその他のオンラインサービスと、申請者による手入力で得た。 目下の知見は大きくわけて7点である。1)16世紀英国にとってsocietyは大陸ルネサンス由来の新奇な語句だったことが確認できた。2)societyはその導入において、ヴァナキュラー語companyおよびfellowshipとの同定が行われた。3)16/17世紀をとおしてsocietyの概念骨格は変わらず<特定目的のための自発的で思慮ある結合>を意味した。4)societyと比較した場合、companyは特に16世紀には武装集団に言及しやすく、fellowshipは特に17世紀には宗教団体に言及しやすいことが分かった。5)companyとfellowshipを比較した場合、fellowshipのほうがsocietyに相似していることが分かった。6)societyは16世紀前半は、小規模な友誼・親交関係を指し、16世紀後半以降はcorporationやcollegeを指すことが多かった。7)支配としてのsocietyは、16世紀にはvirtueの涵養を目的とすると論じられる傾向があり、17世紀末にはpropertyの保護を目的とすると論じられる傾向がある。 特に第4点は、Oxford English Dictionaryの記載に訂正を要する規模の大きな発見であり、第7点は、市民革命の生みの苦しみに対して新しい視覚を提供するものである。全体として、現代の社会科学におけるsociety概念の再考に資する知見となった。 こうした成果を、12月の外国出張による研究集会で報告し、Phil Withington、Cathy Shrankらと検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きなトラブルはなく、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度のため、知見のとりまとめをおこなう。
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Causes of Carryover |
購入予定だった近世英国関係図書の刊行が遅れ、購入できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に購入する。9月を目途とし、もし刊行がさらに遅れる場合は別の図書を購入する。
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