2018 Fiscal Year Annual Research Report
Social Theory of Governance, Risk and Audit : Modern Transformation of Capitalism and Democracy
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15K03820
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
正村 俊之 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (00209420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 眞義 福島大学, 行政政策学類, 教授 (60261559)
小松 丈晃 東北大学, 文学研究科, 教授 (90302067)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / リスク・ガバナンス / 監査 / 近代民主主義 / 権力 / 近代資本主義 / 貨幣 / 情報化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代社会では、1980年代を境に「ガバメントからガバナンスへ」「産業社会からリスク社会へ」と呼ばれる変化が生じた。統治の構造は、国家による垂直的統治(ガバメント)から、国家・企業・NPO等、多様な主体による水平的統治(ガバナンス)へと移行した。また、社会の構成原理は、19世紀の産業社会に支配的であった「富の分配原理」に対して、「リスクの分配原理」という新たな原理が台頭してきた。本研究の目的は、情報化とグローバル化に伴って生じたこの社会的変容を近代社会の機能分化の変容として捉えることにあった。 本研究をつうじて明らかになった主要な論点は以下のとおり。 第1に、これまでガバナンスは統治の問題、リスクは危機管理の問題として位置づけられてきたが、ガバナンスの仕組みが社会の全般的な領域に及ぶとともに、リスク管理も多次元化・複合化されたことによって、リスク管理は社会の統治原理になりつつある。現代社会において、リスクはあらゆる社会的・日常的な活動に内在し、リスク対策を講ずることは統治の重要な課題となっている。 第2に、現代社会は機能分化を維持しているとはいえ、上述の政治的・経済的な変化は機能分化の変容をもたらしている。近代社会は、政治・経済・法・宗教といった社会的機能が明確に分化した社会であり、機能分化は、それまで融合していた諸機能がそれぞれ特定の形式のもとに集中することによって相互に分化した。「近代民主主義」「近代資本主義」はそれぞれ機能分化した「政治システム」「経済システム」を指しているが、現代社会では、機能分化をもたらした機能的集中とは逆の機能的拡散が進行している。 そして第3に、これまでリスク管理は各機能システムに特有な観点からなされてきたが、リスクの多次元化・複合化と社会の機能的拡散が進むなかで、リスク管理も各機能システムに特有な処理に委ねるだけではすまなくなっている。
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Research Products
(5 results)