2015 Fiscal Year Research-status Report
福祉レジーム、地域の産業構造と移民の社会階層に関する比較研究
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15K03822
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
竹ノ下 弘久 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10402231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会学 / 階層 / グローバル化 / 移民 / 国際比較 / 計量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究の初年度であることから、研究のセットアップを中心に、以下を行った。第1に、データ分析に必要な理論枠組み、仮説の構築を行った。そのために、先行研究の検討を行った。第2に、スウェーデンにおける移民、難民の受け入れの文脈を考察するために、スウェーデンの移民問題を専門とする研究者の助力を得て、スウェーデンでインタビュー調査を行った。主として、地方自治体で、移民・難民の支援を行う行政職員や地方自治体による統合プログラムを受講・修了した移民、難民を対象に、インタビューを行った。インタビューと並行して、スウェーデンの移民・難民受け入れに関する行政資料の提供も受けた。第3に、海外の研究協力者の助力を得て、スウェーデンのウメオ大学で、関連する研究について報告し、あわせて、日本、スウェーデン、アメリカの移民の3か国比較について、研究協力者と研究のための打ち合わせを、同大学で実施した。第4に、分析に必要な日本の国勢調査データの申請を、総務省統計局に行った。そして、データを受領後は、統計分析に必要な統計データの整備作業を行った。第5に、データの整備作業と並行して、国勢調査データを用いた予備的分析、記述統計を作成することで、2010年の日本での移民・外国人の世帯、社会経済的地位の動向について、把握することを務めた。インタビュー調査では、移民・難民を対象に行われている公的なスウェーデン語教育や職業紹介事業、職業訓練プログラムについて、担当する行政職員から説明を受け、実際に、そうしたプログラムを受講する人々と話をすることができた。移民・難民を対象とする統合プログラムには、その国の社会保障や福祉政策の在り方が、非常に大きな影響をおよぼしていることが、先行研究により指摘されているが、インタビューや資料収集の結果は、そうした先行研究の知見を支持するものでもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に提出した研究計画に従って、本年度は研究を遂行することができたからである。計画時に今年度実施することを想定していた、先行研究の検討、分析枠組みと仮説の構築は、想定通りの規模で、今年度実施することができた。そして、本研究は国際比較の側面を有するため、スウェーデンにおける移民受け入れの文脈に関する現地調査を行うと、計画書にも明記したが、実際に本年度は、そうした計画を、研究協力者の助力を得て、着実に実施することができた。分析に必要な日本の国勢調査データを、総務省統計局に申請し、データの受領後は、分析の前段階に必要な統計データの整備と、予備的な分析、記述統計の作成などを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に進めた研究内容を前提に、今後も研究計画に明記した内容をもとに、着実に研究を進めていく予定である。2016年度は、本研究プロジェクトの2年目にあたる年であり、日本の国勢調査データ、スウェーデンのRegistration Record、アメリカのPublic Use Microdata Samplesを用いた本格的なデータ分析を実施する。必要に応じて、スウェーデンに出張し、分析結果の考察、解釈に必要な資料収集を行う。また、本科研の研究課題と関連した研究成果の中間報告を、内外の学会で行う。 研究を遂行する上での課題としては、国勢調査データが膨大な量であり、分析を実施するためのデータの整備に相当の時間を要する。そこで、大学院生を雇用し、データ整備を担当してもらうことで、研究代表者の十分な研究時間を確保できるよう努めている。
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Causes of Carryover |
申請段階では、国際学会に出席し、資料収集を行う予定であったが、前年度は、海外出張において、インタビュー調査とフィールドワーク、海外共同研究者との打ち合わせに専念することにしたため、国際学会出席のために必要な海外出張の旅費の支出がその分少なくなった。また、謝金については、国勢調査データの整備のために用いる予定であったが、大学内から支給された予算を用いて、大学院生の雇用を行ったため、その分への支出を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、本科研の2年目に該当することから、国際学会で研究の中間報告を行い、海外出張を複数回行う予定である。国際学会に出席することで、研究課題に必要な資料収集もあわせて行う。そのため、前年度の未使用分を、海外出張によって使用する予定である。
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[Book] 国際社会学2015
Author(s)
宮島喬・佐藤成基・小ケ谷千穂編 竹ノ下弘久
Total Pages
241(63-78)
Publisher
有斐閣