2015 Fiscal Year Research-status Report
ポスト震災社会における科学・技術政策分野のローカル・ガバナンス構築とジェンダー
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15K03832
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
渋谷 敦司 茨城大学, 人文学部, 教授 (90216028)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学・技術 / 原子力 / リスク / ジェンダー / 世論 / 社会意識 / 震災 / 原発事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカにおける核開発の歴史をスリーマイル島原発事故直後の状況までたどりながら、言語、言説、話法という点に焦点を当てて批判的に総括した作業として、ステフン・ヒルガートナーらの研究がある。彼らは、核兵器をも含めた原子力関係者に特徴的な語法を「ニュークスピーク」(Nukespeak)と命名した(Hilgartner and OConnor1982=1983)。このような、米国を中心とした核開発の歴史の中で科学者、技術者ら科学の「専門家」が展開してきた言説を「原子力話法」として位置づけ、この「原子力話法」が1986 年のチェルノブイリ原発事故の影響に関する科学者や専門家たちや各国政府関係者や国際機関の関係者の言説にも見られたものであり、そして今また福島第一原発事故後の現実を説明、解説する言説としても大きな社会的、政治的影響力を持って流通していることを、米国における先行研究を整理する中で明らかにし、2011 年3 月11 日の東日本大震災直後に発生した福島第一原発の事故が私たちにつきつけた問題の本質がこの「原子力話法」と深く関連していること、この話法が福島第一原発事故後の政策的対応と、茨城県内の原発立地・周辺地域におけるポスト震災・原発事故社会の地域政策過程をも規定し続けている中心的要因であることを明確にした。この考察は論文「原子力事故問題の不確実性と「原子力話法」:科学的専門知と市民的生活知の相克について」『茨城大学人文学部紀要. 社会科学論集』第61号(2016)としてまとめている。この論文の理論的枠組みに基づいて2016年度のアンケート調査を設計し、調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたつくば市一般市民を対象とした科学技術に関するアンケート調査を実施できなかった。科学技術についての社会学的研究について、アメリカの原子力関係研究施設をめぐる社会的論争を中心に文献研究を進めた。アンケート調査を実施できなかった主な理由は、本研究テーマと関連する他の研究プロジェクトで類似のアンケートを実施し、その作業で時間がとられたためであるが、そこで得られたデータは本研究でも活用できるものであり、今後本研究で実施する予定のアンケート調査の設計に活かすことができるものでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年に開催が予定されているつくば市での科学技術関連先進国担当大臣国際会議等の社会状況をふまえて、つくば市民の科学技術に関する意識を、東日本大震災と福島原発事故後の科学技術のあり方、科学者・技術者の社会的役割、責任という論点を中心にアンケート調査を実施して把握、分析する。つくば市民の意識と比較する目的で同じ調査を水戸市民を対象に実施する予定である。また、科学技術についての社会学的研究同行、米国等の科学技術をめぐる社会的紛争について、文献研究を中心に情報を収集する。
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Causes of Carryover |
支出予定の中心的内容であったアンケート調査が実施できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に実施予定であったつくば市民を対象にしたアンケート調査を実施し、さらに比較対象として水戸市民を対象にしたアンケート調査を追加実施する。
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Research Products
(1 results)