2018 Fiscal Year Annual Research Report
Practical research, from the narrative theory approach, on people who face with the difficulty of bereavement
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15K03838
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
水津 嘉克 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40313283)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 死別論 / 物語論 / 支援論 / 排除論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究期間の最終年度にあたるので、これまで調査・研究を続けてきた成果をまとめる作業に専念することを試みた。 平成27年度の研究開始から、「生きづらさ」と「語ること」のあいだに生じる問題に関して、主に自死遺族への聞きとりデータ・手記データの分析を継続して行ってきたわけだが、今年度とりわけ力を注いだのは、そのなかで生じた理論的課題を再度洗い直し、そこからこれまでの研究成果を再検討することである。 そもそも本研究は、物語論を主な理論枠組みとして用いつつ、データ分析を通した実践的な研究を志向してきた。しかしその一方、これまで分析概念としての「物語論」をどのように位置づけるかに関しては、個別論文・発表内でその妥当性が担保されるものとして、ある意味あえて幅を持たせた概念枠組みとして用いてきた。しかし、4年間の成果をまとめあげるにあたっては、概念自体を、複数の論文を通して、最大限の認識利得を得られるよう、一貫性のあるものとして再検討しなければならない必要性が生じる。これが、本年度立ち向かわなければならなかった最大の課題である。 このような作業は、これまでのデータ分析・研究成果の再検討と同時進行で行われなければならない。その作業の一環として今年度9月15日の日本社会学会大会では、小児がんで子どもを亡くした親御さんの「語り」を改めてデータ化・分析し、発表を行った。本発表は、2001年発表の論文を物語論的な視点から再検討するものであり、そこで課題としたのは、現象社会学の文脈で論じられてきた「生活世界論」と、それとは別の理論的文脈のなかで紹介されてきた「物語論」を理論レベルでどのように架橋すべきかということである。 概念枠組みとしての「物語論」の精緻化の作業は現在も進めているものであり、その成果は今年度出版予定の分担執筆論文等のなかで、順次発表していく予定である。
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