2016 Fiscal Year Research-status Report
ニューカマー外国人の高齢化:高齢者予備層の戦略分析
Project/Area Number |
15K03843
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高谷 幸 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40534433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 直人 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 准教授 (00314831)
大曲 由起子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00626327) [Withdrawn]
稲葉 奈々子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40302335)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニューカマー外国人 / 高齢化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューカマー外国人の高齢者率は低いが、「予備層」である50歳以上の比率は無視できない水準に達しており、高齢化に向けた研究が必要な段階に到達している。本研究では、この高齢者予備層である50歳以上の在日フィリピン人と在日ペルー人に着目し、主にインタビュー調査を通じて、その社会経済的状況と老後の戦略を分析する。また資源獲得の類型、トランスナショナルな移動に関する文献研究を通して、理論的枠組みの構築に努める。 本年度は、3カ年計画の2年目であるが、前年から継続して、年間を通じて調査と文献研究、研究会を実施した。その中で、ニューカマー外国人の高齢化を考えるにあたって参考になる事例と考えられる在日コリアンの高齢化について、以下の知見を得た。 第一に、在日コリアンの社会経済的地位の変化にはコーホート効果があること。具体的には、労働市場への参入に関わる差別が大きく影響しており、高齢者層ほど労働市場への参入が困難だった。第二に、若年時の労働市場への参入が、社会経済的地位に決定的な影響を及ぼすこと。これは、第一の点とあわせて、高齢者層の現在に至るまでの社会経済的地位の低さにつながっている。第三に、社会環境として差別がある状況での社会的地位の上昇手段として起業があること。 以上の知見は、ニューカマー外国人についても部分的に当てはまると考えられる。たとえば、年金が限られているニューカマー外国人の中には、老後を考えて起業した者もいる。2017年度は、研究計画の最終年度として、インタビュー調査を継続しつつ、これまでの知見を総合して分析・公表に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査研究を進めているが、インタビューが当初の予定より遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きインタビュー調査を実施する。また平成29年度が最終年度に当たるため、年度前半に、これまでの研究成果について学会報告を行い、論文としてまとめる準備に入る予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査を予定通り進められなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度実施できなかったインタビュー調査をすすめると同時に、学会での研究報告を行う予定である。
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Research Products
(5 results)