2016 Fiscal Year Research-status Report
ホスト社会沖縄と日系人―文化資本に基づくネットワーキングとその継承―
Project/Area Number |
15K03847
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
鈴木 規之 琉球大学, 法文学部, 教授 (60253936)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 日系人 / 沖縄 / 社会関係資本 / 文化資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2001年より科研費を受けて研究を継続している「沖縄社会に内包されるディアスポラ」の中から「日系人」に的を絞って、彼らがホスト社会とどのような関係を築いているのかを精査・分析することにある。沖縄社会は多文化化が進行しているにもかかわらず、異文化を持った人々がそのハビトゥスを表出しにくいのが現状であるが、日系人は結束的な(=異なるハビトゥスを許容しにくい)沖縄社会に入り込める資源(ルーツの共有)を持っている。県を挙げて移民の歴史を表彰している沖縄において、彼らがどのような文化戦略を用いてホスト社会での認知を得ているのかを、文化資本に基づくネットワーキングやその継承についての分析を通して明らかにすることを目指す。 以上の目的を達成するため、結束的な沖縄社会と出身国社会をつなぎ架橋的な社会関係資本を提供しうる立ち位置にある「日系人」の文化資本に基づくホスト社会とのネットワーキングなどについて、量的・質的の二つの方法で調査を行うのが本研究の計画である。 二年目の平成28年度には前年度の予備調査をもとに本格的な質的調査を行い、第89回日本社会学会大会において調査結果と一次分析についての成果発表を行った。本調査での対象者は、日本とりわけ沖縄在住歴が長く、沖縄社会に根を下ろしているといえよう。自らのルーツへの関心を契機として成人後に移住してきたケースが多く、移住直後は沖縄の親族が定着をサポートしているが、その後は親族関係に留まらず仕事や育児・遊びを通して幅広いネットワークを築き、最近ではSNSを用いて架橋的な役割を果たしていること、文化資本の継承については公的な側面では困難であるが、私的な部分で日系人としての意識づけがなされていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の平成28年度には前年度の予備調査をもとに本格的な質的調査を行い、第89回日本社会学会大会において調査結果と一次分析についての成果発表を行っており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
三年目の平成29年度には前年度までに得たデータと日本社会学会での成果報告の際に得られたコメントや質疑を踏まえて二次分析を行い、学術雑誌に査読論文を投稿する。それらの論文をもとに調査報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
初年度(平成27年度)は追加採択で10月から研究を開始しており、357,132円を次年度である平成28年度に繰り越した。平成28年度は予定通りに研究計画を遂行したが、繰越した分とほぼ同額を翌年度(平成29年度)にも繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である平成29年度は報告書を出版するので、その印刷費や関係各所への郵送費として使用するほか、より積極的に学会報告をするなど研究成果を公表するための資金として使用する。
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Research Products
(2 results)