2017 Fiscal Year Annual Research Report
Social Inclusion and Exclusion in Urban Underclass Area for those Experiencing Welfare Dependency
Project/Area Number |
15K03851
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 薫子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 都市下層地域 / インナーエリア / 横浜寿町 / 社会的排除 / 社会的包摂 / 地域経済活性 / 福祉化 / バンクーバー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究成果を、2017年5月に開催された地域社会学会大会(秋田県立大学)で報告した。 本課題が対象とする2地域のうち、バンクーバーのDTES地区については2017年度は7月23日から8月6日にかけて現地調査を実施した。現地調査では、貧困問題、住宅問題について複数の地域活動団体に、地域経済活性の取り組みについて行政関係者と社会企業関係者にヒヤリングを行った。ヒヤリング調査を通じて、(1)居住支援を中心とするハウジングファースト施策の展開過程と課題、ホームレスなどへの就労支援やジョブトレーニングが地区内の複数団体、機関によって進められている状況、(2)行政施策をベースとする地域経済活性化、雇用創出の取り組みおよびそこでの議論の内容について確認した。地域経済活性化、雇用創出の施策は、まちづくり計画策定を根拠とするものであり、それゆえに立場を超えた地区内の団体、機関が集まり、ネットワーク形成も進められている。一見すると行政施策に沿って進んでいるようにも見受けられるが、実際には、いずれも住民自身や支援団体、社会企業が長年にわたって築き上げてきた収入確保、生活改善の取り組みの蓄積に基づいて成り立っている。そして、DTES地区では依然として低価格で安全な住宅の不足が問題としてあり続けている。多くの低所得の住民にとって、DTES地区は単にSROがあるというだけでなく、生活に必要な資源(食事や物資の提供、コミュニティセンターの利用、各種情報へのアクセスなど)や仲間とのコミュニケーションの場でもあるが、その慣れ親しんだ地域で健康的で安全、安定的な居住を確保できないことが長年の問題となっている。 横浜寿町地区については、8月、及び12月から1月にかけて現地での参与観察調査を行った。 年度末にはバンクーバーのDTES地区に関する3ヶ年の調査、研究研究の成果を報告書にまとめた。
|