2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03863
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
堀内 一史 麗澤大学, 経済学部, 教授 (60306404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境保護運動 / EEN / CASC / NAE / 宗教右派 / 環境保護庁 / 宗教・神学的思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
基本文献の収集に関しては、初年度の計画通り、ほぼ終えることができた。その中には、以下紹介する福音派環境保護運動家の団体関連の書籍も含まれている。 今回成果を挙げることができたのは、文献調査による情報収集では理解しきれない細部にわたる情報を得るために、12月に行った福音派環境保護運動団体および運動家に対する聞き取り調査である。以下の3団体を訪問し、種々の情報を収集することができた。 第一に、リベラル派・穏健派の福音派による環境保護運動の提唱者である、Evangelical Environmental Networkの副会長のAlexei Laushkin氏をワシントンDC郊外に訪ね、活動内容、宗教・神学的思想、組織論的研究、草の根運動に関するデータは収集できた。第二に、保守的な宗教右派団体であるCornwall Alliance for the Stewardship of Creation(CASC)の代表、Dr. Calvin Beisnerをフロリダ州マイアミに訪ね、同様に、活動内容、宗教・神学的思想、組織的研究、草の根運動に関するデータを収集することができた。第三に、40団体におよぶ福音派諸教派を法人会員として有する全米最大の福音派団体である全米福音派連盟(National Association of Evangelicals)の副会長、Galen Carey氏をワシントンDCに訪ね、同団体の環境保護運動についての活動報告を聞くことができた。NAEはEENなどの諸団体や環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)といった政府機関とも連携を図り、宗教右派団体のCASCとは対立関係にあることが明らかになったことは、特に大きな収穫であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一に、当初訪問と聞き取り調査を考えていたDavid Swartz教授およびRon Sider氏は先方の都合で面会できなかった。そのため、福音派左派による活動に関する神学的・宗教学的・歴史的調査は不十分となったからである。改めて次年度に聞き取り調査を実施する必要がある。 第二に、EENおよびCASCは共に、個人研究者や教会単位に運動が主流を占めているため、組織や草の根運動自体は予想したほど規模が大きくないことが判明した。 第三に、両者とも、政治活動もしくはロビー活動よりはむしろ教育・啓蒙活動に予算や時間を割いていることが判明した。 以上のことから、研究の方向性を若干修正する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後聞き取り調査を必要とする研究者は、福音派左派研究者のDavid Swartzアズベリー大学教授、環境を含む福音派の新たな運動全般に詳しいMarcia Pallyニューヨーク大学教授、福音派環境保護運動に詳しいLaura Kearnsドゥリュー大学教授、環境哲学者のRoger Gottliebウスターポリテクニク大学教授およびCalvin DeWittウィスコンシン大学マディソン校、ネルソン環境学研究所教授である。 次に、聴き取り調査が必要な福音派環境保護団体の活動家は、福音派左派でEEN創設メンバーであるRon Sider氏、保守的福音派で環境保護団体BlessedEarth のコーディネータ、Adam York氏、保守的環境保護団体Seminary Stewardship AllianceのSwoboda牧師である。 初年度に収集した情報および得た知見に基づき、今後の研究は、主に、従来政治に深く関わり共和党の大票田にもなった保守的な福音派信徒やそのリーダーが、なぜ近年、環境保護に関心を持つようになったのかという疑問に答えることである。その上で、EENの外に、保守派のCASCならびにBlessedEarth, Seminary Stewardship Allianceに関する環境保護運動の宗教・神学的思想、教育・啓蒙活動、組織論的研究を行うこととしたい。
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Causes of Carryover |
米国での聞き取り調査計画で当該年度に実施できなかったDavid Swartz(ケンタッキー州、レシキントン在住)およびRon Sider氏(ペンシルベニア州、フィラデルフィア市郊外在住)への調査旅費である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において調査旅費に充当する予定である。
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