2016 Fiscal Year Research-status Report
転換期にあるシンガポールの文化制度:グローバル創造都市の新たな展開
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15K03866
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
川崎 賢一 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (20142193)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化政策 / 文化産業 / 文化制度 / 文化的グローバル化 / シンガポール / 創造都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、2つの作業に重点を置いて研究を進めた。第一に、シンガポールの文化制度を、比較文化、特に、東南アジアの比較可能都市(タイのバンコク、ならびに、マレーシアのクアラルンプール)との比較を実施した。バンコクにおいては、単に文化政策だけでなく、情報通信産業に広げて調査を行った。具体的には、情報通信省のナンバー2にインタビューを行った。また、クアラルンプールにおいては、文化省のトップレベルのインタビューをすることができて、タイやシンガポールとの違いを認識することができた。また、国際交流基金のクアラルンプール事務所の協力を得て、日本人会などで調査をすることができた。その結果、2都市との比較を通じて、シンガポールとの現状比較をすることができた。 第二に、シンガポールの文化制度について、四半世紀にわたる歴史を分析するための資料の作成に重点を置いた。国内においては、東京芸大非常勤講師の方のサポートを受けて、すでに着々とその歴史的展開を資料整理を進めてきた。しかしながら、資料が十分に備わっていない面もあり、それを埋めるために、芸術文化評議会(National Arts Coucil)の職員に面会し、国立国会図書館(National Libraly of Singapore)において、当該職員の協力を得て、資料を収集しただけでなく、国立シンガポール大学構内にある東南アジア研究所(ISEAS)において、追加の資料収集を行なうことができた。 なお、2年間にわたる調査・研究を基礎として、もう1年間研究を進めていく。また、昨年度は、学会発表などを通して、ヨーロッパのウィーン(オーストリア)、アメリカのシリコンバレー(カリフォルニア州)、そして、上海(中国)に出かけることができたので、これらの成果も今回の研究に盛り込みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度においては、シンガポールの文化制度の状況を把握するために、3月のリー・クアンユー元首相の葬儀以降の動向、8月の50周年独立記念日、などを中心に調査を行い、同時に、国内においては、文化庁・名古屋市・東京都・京都市や大学関係者を中心に聞き取りなどを行った。 平成28年度においては、比較文化の観点から、東南アジアにおける比較可能都市(バンコクならびにクアラルンプール)において、調査を行い。また、シンガポールの文化制度の歴史的発展をトレースするための資料収集のため、国立国会図書館や東南アジア研究所などを訪問・作業をした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、過去2年度にわたる調査や資料の蓄積をベースにして、それらの成果をまとめる作業に入りたい。具体的には、シンガポール調査をもう一度実行し、そこで論文でまとめるための確認作業のインタビューを試み、また、関連(文化産業や情報通信分野)分野についても追加調査をする予定である。また、資料についても追加の収集を上記2施設で行う予定である。また、できるだけ、もう1か所、東南アジア以外のグローバル文化都市(例えば、上海とかカタールなど)を訪問・調査できるように努力をしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度においては、全体に予算内に収まるように、倹約を試みながら、支出をしていた。その関係で、人件費やそのほかの項目においてはかなり節約をすることができた。旅費についても予算の範囲内で収まることができた。ただ、物品費については、シンガポールでの図書資料の購入などである程度予算を超過してしまった。その結果、12万円強の次年度繰越金が出てしまったが、平成29年度において、十分に消化できる範囲に収まっていると判断をしている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度においては、当初の計画通りに、予算を使用する予定である。物品費については、予算額を超えないように気を付けたい。具体的には、資料購入について慎重に資質をする予定である。また、旅費についても、今年度はできるだけ節約をして、予定のシンガポール調査のほか、できれば、もう1か所(例えば、上海とかカタールなど)に短期間に調査をすることを考えている。そのために、人件費やその他の項目においても、できる限り節約をする予定である。以上の計画で、次年度使用額を含めて、きちんと使用をするつもりである。
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