2015 Fiscal Year Research-status Report
アジアの中のステレオタイプ「反日」と「親日」―対日感情差異の要因分析
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15K03867
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
大野 俊 清泉女子大学, 文学部, 教授 (10448409)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反日 / 親日 / 対日イメージ / 東アジア / 東南アジア / ステレオタイプ / 対日感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 2015年8月23日から9月6日にかけてフィリピンに出張。マニラ首都圏、セブ島、パナイ島、ネグロス島を訪問し、フィリピン人研究者、メディア関係者、日系企業幹部、日系人会幹部らに面談し、同国における戦中・戦後の対日認識・イメージの変化などについて聴き取り調査を実施した。 ② 2015年11月7日、近隣アジア4カ国の知日派の学者を、研究代表が所属の清泉女子大学に招き、「近隣アジアの市民の目に映る『ニッポン』―この70年の対日イメージの変遷」という国際シンポジウムを開催した。戦後70周年を記念して日本と近隣アジアの関係を再考する学術的催しであり、本科研費と大学の研究補助金を活用した。 この第1部ではまず、自国民の対日観などで研究実績のある王偉氏(中国社会科学院日本研究所教授)、金泳徳氏(韓国コンテンツ振興院海外調査チーム長)、バクティアル・アラム氏(インドネシア大学人文学部上級講師)、カール・イアン・チェンチュア氏(アテネオ・デ・マニラ大学日本研究学科長)の4名が発表した。4氏はそれぞれの国における戦後の対日観の変容などについて研究報告をし、清泉女子大学大学院地球市民学専攻の松井ケティ教授による東アジア平和構築へ向けての実践報告もあった。 第2部では上記5名を交えてのパネル・ディスカッションをし、「反日」「親日」というステレオタイプを超える、東アジア市民間の相互理解を深める方策などが議論された。約4時間のシンポジウムには学部生・院生を含む100名余りの参加があり、東アジア市民の真の和解に向けて多くの具体的提言も出される場となった。 シンポジウム終了後、その議論の詳細についてトランスクリプトを作成し、研究代表がメンバーの「地球市民学研究会」のサイトで、発表者5名の研究発表資料(パワーポイント)とともに一般に公開している(後述)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学部教授、大学院専攻主任としての多くの教務などに追われ、当初予定の中国・韓国については現地調査が実施できなかったが、フィリピンについては首都と地方の各地に出張し、予備的調査が実施できた。 また、上記の日本・近隣アジア間の相互認識・イメージを再考する国際シンポジウムを所属先の大学で開催し、対日イメージや認識の研究で実績のある中国・韓国・インドネシア・フィリピン人の研究者計4名に研究成果を発表して議論を戦わせていただき、またこの4名と個別に今後の共同研究・研究について議論できて、予想以上の研究進捗ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年3月に東ティモールとインドネシアのバリ島に出張。そこでは、同国民の対日認識に関連して、政治家、研究者、政府関係者、ジャーナリスト、NGO、残留日本兵の子孫ら幅広い層の住民を対象に面談調査を実施し、両国における市民の対日認識・イメージの変遷について知見を得る。 2015年度に予備的実施できなかった中国と韓国については、現地の研究者らと連絡をとりながら、訪問地や面談対象者を絞って、現地調査を実施する予定。配布票調査の対象や設問の内容についても、プレテストなどを踏まえて、具体化していく予定である。 また、主要調査対象国の4カ国(中国・韓国・インドネシア・フィリピン)では、関連する文献の収集にも力を入れていく。
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Causes of Carryover |
2016年3月中旬にインドネシア・バリ島、東ティモールで当該調査のために現地出張したが、2015年度の残額の研究費用(105,980円)ではカバーしきれないため、この残額は2016年度の研究予算に回し、その旅費の一部として活用させていただく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年3月4日~14日のインドネシア・バリ島、東ティモールでの現地研究のための旅費にあてる。
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Research Products
(4 results)