2016 Fiscal Year Research-status Report
漁村コミュニティにおける豊かな高齢社会のあり方を考える
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15K03869
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関 いずみ 東海大学, 海洋学部, 教授 (20554413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雪絵 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70551365)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 高齢社会 / 地域コミュニティ / ソーシャルキャピタル / 生涯現役社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
漁村地域は全国と比較して高齢化率が高く(平成27年では日本の高齢化率は26.7%、漁港背後集落の高齢化率は36.3%となっている)、東北大震災の被災地では、一時余所に避難するなどした人々が地元に戻らず、震災以前と比べ人口減少が進んでいる地域もある。また、漁業就業者の高齢化率は36.3%(平成27年)となっている。このような年齢構成のバランスの悪さや人口の減少は、近い将来、漁業や地域そのものの存続にも関わる深刻な問題である。しかし一方で、漁業従事者の高齢化率が高いということは、漁業が生涯現役を実現できる職業であり、年齢にかかわらずやるべき仕事をもって暮らしていくことができることを示している。したがって、漁村の高齢社会問題は、都市部などとは異なる視点をもって捉えていかなければならないことが示唆された。そこで、平成28年度の調査研究では、働き活動する漁村の高齢者を対象として調査研究を行った。 具体的には、①岩手県の集落及び、比較対象となる漁村での現地調査を実施し、漁村における高齢者の活動実態及び、そこから捉えられる問題点や課題を整理、②現地調査や文献調査などから、コミュニティ再生に係る新しい取り組みや活動の事例を抽出し、地域コミュニティ再生の新たな動きの掘り起こし、を実施した。またこれらの結果を踏まえ、③地域活動と関わる専門家や実践者を招聘し、3回の研究会を開催し、調査結果について他地域との比較や専門家による多角的な視点からの検討と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
漁業は生涯現役が可能な産業であること、漁村は互いの生活を知り尽くすような強い連帯感があること、漁村地域には様々な地域組織があり、集落構成員はいずれかの組織に所属し地域において何らかの役割を担っていること、といった漁村の特徴は高齢社会を豊かにする強みにもなり得ることを一つの仮説として、今後の調査を進めることが確認できた。現地調査については、計画通りに実施することができたが、荒天のため当初赴く予定の集落へ行くことができなかった。この集落は、震災後漁船を共同利用し、人々の連携によっていち早く漁業再開を果たすなど、非常に参考になる事例と考えられるため、再度調査を試みたい。 また、研究会の開催については計画通り実施することができた。研究会は3回開催し、毎回基調講演を専門家に依頼した。第1回は長崎県対馬市外部集落支援員として2年間現地で地域住民とともにまちづくりを実践してきた若者、第2回は都市部で働く人々の生涯現役実現のためにはどのようなコミュニティづくりが必要か、というテーマに取り組む看護大非常勤講師であり民間会社の取締役でもある女性、第3回は漁村の地域計画を専門とするコンサルタントといった、実質的に地域と関わってきた講師に依頼した。毎回学生も多数参加し、活発な意見交換が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、漁村地域の今後の在り方について考察していく。一つには、地域組織の構造や、地域住民の組織への関わり方を分析し、地域社会における人と人との結びつきや、暮らしの在り方について分析していく。また、これまでの調査の中で抽出された漁村(被災地を含む)の高齢者の生活における問題点や課題を整理し、豊かに暮らせるための地域社会の在り方について検討する。 また、研究会についても2回程度開催する。今回の研究会では、考察した内容を地域へ還元していく道筋を創っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今回、1,279円を使用残しとして次年度使用額へ回すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度予算と合わせて、資料代等として使用する。
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Research Products
(2 results)