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2015 Fiscal Year Research-status Report

生きられたアナーキズムの文化実践:自律空間の創出とサブシステンス

Research Project

Project/Area Number 15K03872
Research InstitutionJapan Women's University

Principal Investigator

澁谷 望  日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (30277800)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小田原 琳  東京外国語大学, その他部局等, 講師 (70466910)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywordsサブシステンス / アナーキズム / コモンズ / ソーシャル・センター
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、1990 年代から世界の大都市に広がっているアウトノミア系アナーキズム運動の文化実践的、「モラル・エコノミー」的、情動的側面を明らかにする。さらに在地社会のコモンズを守るために展開される運動の「アナーキズム」的特徴に注目することによって、都市のアウトノミア系アナーキズム運動との連携の可能性を探る。総じてサブシステンスおよびコモンズの生成の観点から、資本主義社会へのオルタナティヴの諸原理を明らかにする。
初年度はフィールドワークとしては、2014年の「ひまわり革命」として知られる台中の自由貿易反対運動のアクティビストへの聞き取り調査を行った。この運動はしばしば反中国的なナショナリズムに支えられていると見なされているが、反中国的な主張ではなく、反ネオリベラリズム的な理由から運動に参加している人々に聞き取り調査を行い、その運動の系譜およびネットワークをたどる作業を行った。彼らはひまわり革命の際にも主流派の主張からは距離を置きつつ、戦術的に主流派との討議の空間を編み出すことを試み、またゆるいかたちではあるが、反ジェントリフィケーション(反都市再開発)運動や反原発運動と結びついていた。
理論研究としては、おもにD. ハーヴェイらの都市コモンズ論を媒介にして、アンジェリスらのコモンズ論とN.スミスらのジェントリフィケーション研究を接合させる試みを行い、さらにフィールド調査との突き合わせをおこなった。都市におけるコモンズ構築の方法論として、反資本主義的な「ラディカリズム」と身体的・文化的な「ゆるみ」を接合させる運動の作法を確認することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度の聞き取りの調査地を台湾(台北と台南)のソーシャル・センターに変更した点が計画と異なるが、その理由は、2014年の「ひまわり革命」の余波が2015年においても持続していたこと、そして、日本との人的交流が予想以上に行われていたことがある。結果として、本研究において台湾の運動の比重が高くなったが、基本的な方向性は予定通り進んでいるといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後も当初の計画通り、フィールド調査(都市の運動と在地社会)と理論研究の両側面から進める。
フィールド調査としては、(1)東アジア、東南アジア、日本の運動のネットワークの研究。(2)北米、オーストラリアのアウトノミア系アナキストのネットワーク(3)それらの地域における在地社会のコモンズ維持に関する調査を行う。
理論的研究としては、(1)運動のモラル・エコノミー的、文化的、情動的次元についての研究と、(2)都市コモンズの条件についての文献・事例研究を中心に進める。前者については、関係性の構築の技法へのエコフェミニズム的アプローチを採用する。とくにエコフェミニズム(S. フェデリッチ)による、近代化のなかで産婆や民間療法など魔女」的なものとしてレッテル貼られてきたヴァナキュラーな知を再評価する動きがあるが、そうした動きのなかにヴァナキュラーな「ケア」や「心理学」の諸実践の系譜を再吟味・再評価するアナーキストの文化を位置づけ検討する。後者については、ネオリベラル体制下における都市コモンズの構築に関するD. ハーヴェイ、N.スミス、S. サッセンらの理論と、コモンズに関する、M. アンジェリス、S. フェデリッチ、G. カフェンティスらの議論を参照する。ここでいう「コモンズ」とは、一方でサブシステンスの創出・維持とかかわるが、他方でそれ自体が関係性の創出・維持の実践でもある。能動的・実践的な意味合いで強調するために近年、「コモンズ」というより、「コモニング」という用語が使われている。これらの作業によって、前者(文化的次元)と後者(物質的次元)の相互補完的な関係を明らかにする。

Causes of Carryover

当初計画していた北米のソーシャル・センターよりもアジア地域のほうが人的交流の面で、より実行可能性が高いと判断したため、アジア地域を優先にフィールド調査を開始した。しかし他方で、アジア地域の方が調査費用が安くついたため、今年度は予定よりも少ない予算で調査が可能となった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度、フィールド調査地への行き来がしやすくアジアに比重をシフトしたため、次年度は調査の回数を予定よりも増やすことを予定している。具体的には、台湾での聞き取りを継続することに加え、インドネシア、マレーシアのアナーキスト=アーティストのグループへのインタビュー調査を予定している。さらにフィリピンのアナキストのアクティビストの招聘を計画している。加えて、オーストラリアのアクティビスト=研究者へのインタビューも予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] グローバル都市における価値闘争としてのジェントリフィケーション2015

    • Author(s)
      渋谷望
    • Journal Title

      日本都市社会学会年報

      Volume: 33 Pages: 5-20

  • [Journal Article] 欲望の予示的政治 ― アクティビズムと想像力2015

    • Author(s)
      渋谷望
    • Journal Title

      世界思想

      Volume: 42 Pages: 29-33

  • [Presentation] ‘Time of the “Realm of Mothers”: Mother-and-Child Discourse in Social Movement in Japan and Historical Time’2015

    • Author(s)
      小田原琳
    • Organizer
      the workshop ‘The Work of Post-War'
    • Place of Presentation
      New York University
    • Year and Date
      2015-12-18
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2017-01-06  

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