2015 Fiscal Year Research-status Report
「強いられた」コミュニティ再編を巡る復興支援と制度に関する比較研究
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15K03875
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
西城戸 誠 法政大学, 人間環境学部, 教授 (00333584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 峻 立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (40733829)
図司 直也 法政大学, 現代福祉学部, 准教授 (60442563)
黒田 暁 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (60570372)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 復興支援員 / 津波被災地 / まちづくり / 県外避難者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東日本大震災を機に設置された「復興支援員」に着目し、1)津波被災地におけるコミュニティ再編と、2)原発災害による県外避難者による「2つのコミュニティ再編」における役割を比較、検討することである。本年度は、2つの調査研究を実施している。 第一に、宮城県の復興支援員の調査を実施し、津波被災地の復興支援員の活動の概況に関して調査を行った。また、福島県内の復興支援員の活動(まちづくり中心)の概況について調査し、地域づくり・まちづくりとしての復興における、復興支援員の役割、課題についての知見を得た。なお、石巻市北上町における復興支援員(復興応援隊)に関する調査研究の成果を挙げたほか、復興支援員制度の原型となっている、中山間地域における地域サポート人材事業に関する研究成果を出し、復興支援員に関する研究の参照点を得ることができた。 第二に、福島第一原発事故による県外避難者に対する復興支援員については、埼玉県における復興支援員の活動の調査研究を行った。埼玉県には、浪江町、富岡町、双葉町、大熊町の県外避難者の支援の拠点が揃っており、復興支援員の活動の比較を行うためには適している。調査の結果、県外避難者の復興支援員の活動もバリエーションがあり、復興支援員の募集や選考、給与の支払い、研修などを行う受託団体の性格、避難者支援の経験の種類によって、復興支援員による県外避難者支援のあり方に差があることが見いだせた。また、いわゆるまちづくりを中心とした復興支援員の活動の調査結果と比較すると、県外避難者支援としての復興支援員のあり方は、まちおこし支援の方法と必ずしも適合的ではないことが仮説として見いだすことができた。なお、福島第一原発事故による県外避難者に対する支援体制全般や、県外避難者の現状については、埼玉県を事例に調査研究を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
復興支援員に関する調査は、宮城県、福島県での復興支援員の概況に関しての聞き取り調査、また県外避難者支援に関する復興支援員に関する調査は、復興支援員、受託団体への調査を行い、今後の継続的な調査の土台を作ることができた。 また、石巻市北上町における復興支援員(復興応援隊)に関する調査研究の成果を挙げたほか、復興支援員制度の原型となっている、中山間地域における地域サポート人材事業に関する研究成果を出し、復興支援員に関する研究の参照点を得ることができた。 さらに、県外避難者支援に関する復興支援員についての知見は、次年度に学会報告を行う予定であり、着実に研究成果を挙げている。なお、埼玉県における県外避難者向けの情報誌(福玉便り)の刊行など、調査研究をスピンオフした実践的な成果も挙げている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)津波被災地の復興応援隊については、平成27年度における概括的な調査を踏まえ、活動タイプ等の類型化を行う。調査の知見を踏まえて特徴的な復興支援員の活動を分類し、また、地域別の相違点に関する分析を進める。 (2)原発県外避難者への復興応援隊については、平成27年度における調査を継続する。県外避難者に対する復興支援員制度のあり方も変化するなど、県外避難者支援の体制とその変化を把握した上で、県外避難者への復興支援員の活動を複数取り上げ、その活動の違いについての分析を進める。さらに、県外避難者支援の復興支援員同士の交流と情報交換を兼ねた場のセッティングも行うとともに、埼玉県における避難者支援の情報誌である『福玉便り』の号外号で、一般市民、避難者向けに情報提供を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、研究代表者が、所属機関の学務の比重が多くなったため、旅費を中心として、使用額が当初計画よりも低かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、共同研究者への分担金を増やすとともに、研究代表者がより調査研究を実施する計画を立てた。
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