2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Analysis of Blue-Green Alliances between Japan and the United States
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15K03876
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
鈴木 玲 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20318611)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 労働運動 / 社会運動 / 住民運動 / 公害 / 環境正義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、主に日本の労働運動が公害問題にどのように関与したのかを、合化労連とその傘下の新日本窒労組、および大昭和製紙労組を事例に研究した。合化労連(化学産業の労働組合の連合体)による公害問題への取り組みの内容、運動指導者の考え方などを、70年代初めの組合大会の議事録や他の一次資料を使い分析した。また、新日窒労組の水俣病対策が、上部団体の公害対策とどのように異なったのかを、組合資料や聴き取りによって調査をした。研究の結果は「合化労連の公害問題への取り組みと新日窒労組の水俣病闘争」の論文にまとめた。今後チッソ労働運動史研究会が刊行する論文集の一つの章として刊行される予定である。 もう一つの事例として、静岡県富士市の大昭和製紙の労働組合が60年代末から70年代初めにかけて同市の大気汚染、水質汚染公害にどのように対応したのか、住民運動とどのような関係をもったのかについて調査をした。大昭和製紙労組の組合新聞、富士市のローカル新聞、その他の一次資料や二次資料を使い調査を行い、日本労働社会学会第30回大会のシンポジウム(平成29年10月21日)で報告した。報告後、富士市に火力発電所の建設を予定していた東京電力の労働組合の火力発電所反対運動への対応についても調査を行った。研究結果を「企業別組合の公害問題への対応と住民運動との関係――富士市の公害問題を事例として」としてまとめた。本論文は、日本労働社会学会の学会誌で刊行される予定である。 アメリカの労働組合の環境問題への対応については、アメリカ環境史の文献を使い、化学工場、銅や鉛の精錬所、ウラニウム鉱山で働く労働者の職業病、近隣住民の公害被害などの事例について検討した。文献調査は、労働者が自分たちの職場が原因で近隣地区で公害が起き、また自分たちも職業病の被害にあっても、雇用を重視して職場の閉鎖に反対する傾向があることを示した。
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Research Products
(2 results)