2015 Fiscal Year Research-status Report
1970-80年代における社会運動の国際的展開に関する運動史的研究
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15K03878
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
松井 隆志 武蔵大学, 社会学部, 准教授 (70710341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道場 親信 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (60287951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会運動 / 国際連帯 / NGO / 運動史 / ネットワーク / インタビュー / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の研究実績は以下のとおりである。 東京でのワークショップ形式での調査は計4人に対し、5回行った。それぞれ2時間以上の聞き取りになった。これらの調査によって、1970年前後の国内の反公害運動や演劇活動からアジアへの活動への展開が具体的に明らかにされた。一方、東京での調査への参加が困難な調査対象者に対して、九州地方(福岡県・熊本県)での調査を1回(3件のインタビューで計4人)行った。これらのインタビューによって、消費者運動、ウーマン・リブ、学生運動を出発点にした活動が、1970-80年代の運動へといかに連続していったか、特にアジアとの国際連帯運動への接続や「PP21」への結集の軌跡が明らかにされた。こうした調査結果は、これまで個別の運動体に即してのみ、しかも断片的に語られてきた運動史を、同時代のつながりの中に再構成することを可能にする知見を含んでおり、貴重な研究成果が得られたと言える。 海外調査については、タイ調査に着手し、インタビュー対象者との連絡と関係づくりに成功した。また、今後の本格的調査のための基礎的事実も調査することができた。 海外調査・国内調査ともに、次項で述べるように、予期せぬトラブルなどもあって当初計画よりも若干進捗が遅れる結果となった。しかし、研究グループとしてのそれまでの研究成果も含めると、順調に成果は蓄積されている。これらを踏まえ、2年目・3年目も、研究の遅れを取り戻しつつ、調査によって同様の貴重な知見を蓄積する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外渡航についての手続き上のトラブルや研究分担者の健康問題等が予期せず発生し、海外調査に十分取り組むことができなかった。国内調査についても、海外調査の遅れを補うべく、さらに推進する余地はあったと思われるが、機会を必ずしも十分に活かすことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、東京でのワークショップ形式での調査を進めつつ、前年度同様の国内調査も複数回行う。また海外調査も、タイ調査を本格的に進めるとともに、本来前年度に行う予定であった調査地(香港、フィリピン)についても調査を実施する。 2017年度は、それまでの研究を推進しつつ、それに加えて記録のアーカイブ化に向けた取り組みを本格化する。 なお、2016年度以降の作業分担を変更し、海外調査統括も研究代表者が受け持つこととする。また、2017年度に関して、研究代表者の本研究へのエフォート率をさらに高めることを可能とする条件が整ったこともあり、2015年度の進捗の遅れも3年間全体では十分挽回可能である。
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Causes of Carryover |
渡航時の手続きトラブルや研究分担者の健康問題があり、海外調査が予定通りに行えなかった。また、備品費についても、既に所有済みのデジタルカメラを使用していたり、編集ソフトなどは後の年度で利用予定であったため、当初2015年度に購入予定だったものを全ては購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に行えなかった海外調査を2016年度および2017年度前半にかけて行う。調査に必要な備品で未購入のもの(デジタルカメラやタブレット、編集ソフト等)を今後購入する。
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