2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03881
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
藤井 敦史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (60292190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 晃樹 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (20340416)
柳沢 敏勝 明治大学, 商学部, 専任教授 (30139456)
松井 真理子 四日市大学, 総合政策学部, 教授 (30340409)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会的企業 / 中間支援組織 / 社会的連帯経済 / 協同組合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、第一に、これまでに行ってきた日本の労働統合型社会的企業(WISE)の中間支援組織に対してのヒアリング調査を分析し、まとめることができた。中間支援組織調査を通して、日本のWISEが、貧困や社会的排除問題を基盤として、その支援対象や担い手を拡大させており、いわゆるパーソナル・サポートや伴走型支援のように、問題を抱えた個々人に寄り添いながら、コミュニティを形成しつつ、地域社会の多様なアクターと連携しながら問題を解決していく手法を共通して発展させてきていることが理解できた。分析結果は、2016年11月に発行された全労済協会報告書に加え、2017年4月30日発行の五石敬路・岩間伸之・西岡正次・櫛部武俊・有田朗編『生活困窮者自立支援で社会を変える』法律文化社所収の論文としても発表することができた。 一方、英国の社会的企業の中間支援組織に関しては、英国で社会的企業全般の促進をミッションとしている全国組織SEUKのヒアリング調査を実施することができた。SEUKは、個別社会的企業のマネジメントではなく、社会的企業の市場環境や制度環境そのものを変革するために、Buy Socialという社会的企業と大企業をつないでサプライ・チェーンを作るキャンペーンやSocial Value Act以降の委託契約に社会的価値を埋め込むための取り組みなどを行っており、英国社会的企業における最前線のトピックを学ぶことができた。また、地域に密着した中間支援組織としては、Account 3から、そのコミュニティ開発の手法を詳細に学ぶことができた。特に、3月には、Account 3のメンバーが来日することが可能になったため、国際ワークショップを立教大学で3月10日に開催し(公開で実施し、研究者と実践家を含め30人弱が参加)、参加型評価手法などコミュニティ開発にとって重要な方法を学ぶことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本での労働統合型社会的企業に関する中間支援組織調査に関しては、数多くのヒアリング調査を実施し、調査結果を既に報告書や論文として発表してきた。また、英国におけるヒアリング調査に関しては、中間支援組織というものが、コミュニティ開発の重要な担い手として位置づけられており、コミュニティ開発の重要な手法として、参加型評価(participatory appraisal)等の手法についても学ぶことができた。我々にとって、こうした新しい発見は、日本での地域密着型の中間支援組織を促進するための重要なヒントになることと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査研究の蓄積に関しては、5月に日本NPO学会、7月にベルギーで開催されるEMESネットワーク第6回大会で報告することにしている。また、労働統合型社会的企業や中間支援組織に関わる数多くの文献を読んできたので、現在、それらの文献リストを作成中であり、データ・ベースのようなものも作成していきたい。 また、英国における中間支援組織の調査を引き続き行い、コミュニティ開発に関する文献の収集・読解・翻訳等の作業も進めていきたい。そして、日英比較を通じて、日本の中間支援組織の発展に資するコミュニティ開発のノウハウなどについて検討し、社会に発信していきたい。
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Causes of Carryover |
当初、2017年3月に渡英して、ヒアリング調査を行う予定だったが、重要なヒアリング先団体であるAccount 3のメンバーが来日することになり、メンバーの内一人の旅費を支出することになったものの、我々が渡英せずに実質的なヒアリングができてしまった。そのため我々の渡航旅費が浮き、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は最終年となり、これまでの調査のファインディングスを論文のみならず、データ・ベースとしてまとめ、研究代表者が会長を務める社会的企業研究会等においても、積極的に発信を行っていくこととしたい。こうした業務を行う際にアルバイトを雇う必要があるので、前年度の残額は、人件費として充当していきたい。
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Research Products
(9 results)