2015 Fiscal Year Research-status Report
ポピュラー文化展示の手法開発及び公共性のメカニズム解明に関する実践的メディア研究
Project/Area Number |
15K03898
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 麻里子 関西大学, 社会学部, 准教授 (50411294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 千恵 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (90397779)
伊藤 遊 京都精華大学, 国際マンガ研究センター, 研究員 (70449552)
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (10396913)
永井 良和 関西大学, 社会学部, 教授 (40207973)
三浦 文夫 関西大学, 社会学部, 教授 (00636342)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポピュラー文化 / ミュージアム / 展示 / マンガ / スポーツ / ポピュラー音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポピュラー文化の資料・アーカイブが、社会の文化資源として公開・共有されるプロセスを、展示実践を通じて理論化し、そこから共有される新しい公共性を、ポピュラー文化ミュージアムがもつ社会的機能として解明することを目的としている。そのために、ポピュラー文化のアーカイブや展示の在り方を調査したうえで、実際の展示を企画・構成・実施し、そのプロセスを可視化・評価することが求められる。 2015年度は、ポピュラー文化を扱う展示やミュージアムの現状について、包括的な調査と、関係者らへのインタビューを行ったが、そこでは日常的娯楽であるポピュラー文化を展示やミュージアムといった公共空間で扱うことの困難が浮き彫りとなった。 ポピュラー文化は、たとえば美術史、歴史学、民俗学、科学など、ミュージアムの存立基盤となる学問が扱ってきた範疇の外にある。学芸員や館の専属スタッフで、ポピュラー文化とその展示に関する(構想はもちろんのこと)技術的なノウハウを持っている人は、現段階ではきわめて少ない。一方、一部の専門家(業界関係者やライター)が当該ポピュラー文化に関する膨大な知識を持つが、彼らは展示のプロではない。つまり、その膨大な専門知を専門誌等の媒体で発信する能力も持っていたとしても、ミュージアムの展示が前提とする公共的な語りに変換すること、さらにそれを展示という空間に落とし込むには別の所作が必要である。ここにポピュラー文化の展示をめぐる「知の分断」がある。 したがって、ポピュラー文化を展示する方法論はいまだ十分に言語化も、共有も、確立もされていないのが現状である。専門的な知識を持つ双方が協力しあい、こうした「知の分断」をいかに乗り越えていくかが、ミュージアムでポピュラー文化を展示することの大きな課題のひとつであり、本研究が少しでもそれに対する議論を提示できればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)2015年度は基礎調査として、スポーツ、マンガ、ポピュラー音楽の展示に関する全体的な状況把握のための調査を進めることができた。 2)とりわけ、スポーツ関連の展示とポピュラー音楽の展示に関しては、数少ない実践関係者からの具体的な聞き取り調査を行うことができた。 3)それらの成果の一部は学会発表と、論文として残すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、実際の展示の企画・構成・実施し、そのプロセスの記録、可視化、評価を行う。 現在、既に12月の京都国際マンガミュージアムでの開催にむけて、企画を進めている。現段階では、展示コンセプトの基本は固まっており、全体のスケジューリングもほぼできている。さらに取材先・調査対象の選定と申し入れを行った。今後は調査を経て、空間デザインや実際の設営に向けて動く予定である。
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Causes of Carryover |
1)研究協力者の旅費が未使用となったため(こちらから出掛けた際にヒアリングできた)。 2)人件費・謝金が想定よりも少額で済んだため。 3)2015年度予算に入れていた展示図面の委託が、2016年度にまわったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記(1)(2)は2016年度の人件費・謝金にまわす。 (3)は2016年度にそのまま発生する。
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Research Products
(6 results)