2016 Fiscal Year Research-status Report
ポピュラー文化展示の手法開発及び公共性のメカニズム解明に関する実践的メディア研究
Project/Area Number |
15K03898
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
村田 麻里子 関西大学, 社会学部, 教授 (50411294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 千恵 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (90397779)
伊藤 遊 京都精華大学, 京都国際マンガ研究センター, 研究員 (70449552)
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (10396913)
永井 良和 関西大学, 社会学部, 教授 (40207973)
三浦 文夫 関西大学, 社会学部, 教授 (00636342)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポピュラー文化 / 展示手法 / マンガ / 公共性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポピュラー文化の資料・アーカイブが、文化資源として公開・共有される過程を展示実践を通じて理論化すること、さらにそこから創出される新しい公共性を解明することを目指してきた。 2015年度の下調べやインタビューなどの準備作業を経て、2016年度は1年間かけて実際に展示制作を行い、展覧会として公開し、その様子を記録しながらあわせてインタビューを行った。展覧会は2016年11月23日から2017年2月7日にかけて、京都国際マンガミュージアムにおいて「誰のためのマンガ展?」と題して行われた。マンガはポピュラー文化の中でも圧倒的に展覧会で扱われることが多い媒体であり、それらを批判的に検証する作業としての展覧会実践として、もっとも適当な題材と判断した。 展覧会では、外国人、視覚障害者、美術ファン、コスプレーヤーなど、多様なオーディエンスが楽しめるマンガの展示を合計9パターン用意し、文字通り「誰のための」マンガ展なのかを問うてみる実験的な展示として位置づけた。その目的は、ポピュラーカルチャーを扱う展示の意味・手法・公共性について多角的に考えることにある。 より詳しい分析は2017年度の課題だが、今回明らかになったことは、マンガをはじめとするポピュラー文化の展示手法は、誰に向けられたものかとセットで考えられてこそ、はじめて文化資源としての公共性を発揮しうるということである。展示というチャンネルを通してポピュラー文化の意味を伝えるためには、当然ながら有効な展示手法を考える必要があるが、それは単純に展示されるコンテンツや見栄え(デザイン性)に関わる技術的な話で終わるべきではない。どんなメッセージを誰に向けて発するのかを見据えての展示手法の開発が、今後のポピュラー文化展示には求めらている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の最大の課題は、ポピュラー文化展示の公共性について考えるという当該課題に見合う内容の展覧会を実施し、その記録を可視化することであったが、予定通り2016年11月23日から2017年2月7日にかけて展覧会を行うことができ、インタビューも実施することができた。また、当該展覧会は、カーサブルータス、烏丸経済新聞、メディア芸術カレントコンテンツの取材を受け、それぞれの媒体にも掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は2016年度の展示実践およびその記録を元に分析作業をすすめ、またこれまでのポピュラー文化展示に関する複数の調査とあわせて、ポピュラー文化展示の公共性についての議論を深め、まとめる予定である。
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Causes of Carryover |
展覧会事業や調査にかかる経費のため、最終的には必要な材料費、交通費(打ち合わせおよび物品の借用・返却のための出張費も含む)などに多少のずれが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度費用は主に報告書の作成費と交通費に使用する。前年度からの繰越金も、報告書の作成費と交通費を補填するのに使用する。
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Research Products
(3 results)