2017 Fiscal Year Research-status Report
生活困窮者自立支援法下におけるホームレス政策とデータベースの役割に関する研究
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15K03909
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
土肥 真人 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20282874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 周太郎 東北工業大学, ライフデザイン学部, 准教授 (80530576)
杉田 早苗 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90313353)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活困窮者自立支援法 / ホームレス自立支援法 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は平成27年4月施行の生活困窮者自立支援法(以下、新法)と、平成29年8月に延長が決定したホームレス自立支援法(以下、旧法)の両法下にある①ホームレス支援政策の実施状況、②データベース運用状況の把握を目的とした。 昨年の札幌市と名古屋市の調査に引き続き、大阪市の自治体担当部署、新法の事業受託団体、民間のホームレス支援団体、研究機関など計7団体へのヒアリング調査を実施した。調査の結果、①ホームレス支援政策は新法の枠組み内で従来通り行われているものの、ホームレス人口減少とも相まって府や市による独自の支援事業の規模は減少傾向にあることが明らかとなった。また②データベースの運用状況では、巡回相談を受託する団体は独自のデータベースを利用していることが明らかとなった。 また海外のホームレス支援政策の実施状況を把握するため、オーストラリア・NSW州を対象に自治体、民間の支援団体など計12団体へのヒアリング調査を実施した。今回の調査では特に、日本のホームレス支援法(旧・新法)の両法でも支援対象と想定されていない若者ホームレスへの支援状況を把握した。調査の結果、NSW州では①1970年代より若者や子供の不安定居住に対する認知と支援体制の構築が進み、現在は地域コミュニティの資源を活用した支援が行われていることが、また②国の保健福祉局は支援事業を実施する約1500の団体からサービス利用者の情報を収集しており、近年では支援団体が参照できるデータベースも構築されていることが明らかとなった。 さらに、実施した調査を査読付き論文としてまとめ、都市計画学会に投稿を行った(『オーストラリアNSW州におけるコミュニティ資源を活かしたユースホームレス支援政策と実態』、『市民参加型ホームレス実態調査「ストリートカウント」の国際比較研究 ニューヨーク、シドニー、ロンドン、東京の事例を対象として』)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年8月に失効が予定されていた旧法が10年間再延長となったことから、研究内容を再検討した。検討の結果、旧法と新法の併走状態のもと実施されている①ホームレス支援政策の実施状況の把握と②データベースの運用状況を整理することに加え、日本のホームレス支援法(旧法、新法)のどちらの法律においても支援対象と想定されていない若者ホームレスへの支援状況を把握することとし、若者ホームレス支援を積極的に実施しているシドニーのホームレス支援策を調査した。研究内容の再検討とそれに合わせた調査を実施したため、本年度予定していた研究成果のとりまとめを来年度以降に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、旧法と新法の併走状態のもと実施されている①ホームレス支援政策の実施状況の把握と②データベースの運用状況を整理し、ホームレス支援の現場で表出している問題の把握とその解決策の提言を行う。また、旧法および新法でも対応ができていない若者ホームレスへの支援策について提言を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年に予定していた研究成果のとりまとめ補助の謝金および論文掲載費の未使用額が生じている。本年度は、とりまとめ作業の補助のための謝金および論文掲載費に使用する予定である。
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