2015 Fiscal Year Research-status Report
見守りネットワークによる単身者等への緊急時対応に関する研究
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15K03917
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
杉崎 千洋 島根大学, 法文学部, 教授 (60314613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 達也 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (30320419)
正野 良幸 京都女子大学, 家政学部, 講師 (90514167)
金子 努 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (70316131)
越智 あゆみ 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (60445096)
中村 明美 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (20390180)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 見守りネットワーク / 緊急時 / 地域包括支援センター / 異変・急病 / 2014年介護法 |
Outline of Annual Research Achievements |
見守りネットワーク調査の事前準備のために、島根県松江市、大阪府堺市南区の社会福祉協議会、地域包括支援センター職員に、小学校区別の特徴などについて情報収集をした。松江市では29区中6区で見守りネットワークが比較的整備されている。堺市南区では、19区中18区で見守りのための訪問活動がされており、主な訪問者別に3つに類型できる。区または自治会単位で見守り・訪問の情報を集約し、専門職も入り、見守り対象者の発見、支援方法の検討などを定期的に話し合っている区が、複数ずつあることがわかった。これらは、見守りの促進要因の1つになっていると思われる。 当初の計画では、見守りネットワーク研究の柱は、①見守りネットワークの現状把握・評価を目的とした同効果分析、②見守りネットワークを促進させるための考え方の提示を目的とした同促進・阻害要因分析としていた。しかし、前記の小学校区・自治会単位の話し合いへの住民の自主的参加の要因解明などのためには、基礎自治体、社会福祉協議会などの支援を検討する③同仕組み(システム)分析も必要との認識をもった。 ②③に関しては、松江市社会福祉協議会の担当者とも協議し、平成28年度に実施する調査計画を具体化することができた。地域包括支援センターが関わる事例の中で、過去1年間に救命救急センターに搬送された事例の概要について情報提供を受けることができ、本研究で取り組む調査研究の詳細を検討することができた。また、この検討の過程で、家族と同居しているが日中独居の高齢者も多いことや、救急搬送された前後のみに焦点を当てるのではなく、それまでの生活歴も踏まえて高齢者の生活を捉えていく必要性など、本研究全体に関わる重要な観点も確認することができた。 イングランド2014年介護法に関しては、ケアラー支援だけでなく、他機関とのパートナーシップなどの最新動向を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
見守りネットワーク研究の調査準備はしたが、データ収集も含めた調査の実施ができなかった。その主な要因は、研究代表者の体調不良にある。これらの調査は主に松江市を対象地域として実施する予定であったが、そこでの準備に支障を来たしたために、調査全体が進展しなくなった。 しかし、見守りネットワーク研究の3つの柱のうちの2つの柱(②見守りネットワーク促進・阻害要因分析、③同仕組み(システム)分析)については、前記のように研究分担者により調査準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
見守りネットワーク研究は、① 見守りネットワーク効果分析、②同促進・阻害要因分析、③同仕組み(システム)分析、の3つの柱で行う。 ①の救命救急センター入院患者を対象とした調査は、調査体制上の理由により実施できなくなった。そのため、①のもう1つの計画である松江市地域包括支援センターによる高齢単身者等への緊急時対応を対象とした調査を実施できるよう準備し、後期には調査を実施する予定である。 ②では、傷病により入院した単身者等の入院に至るまでの経過を事例分析により明らかにし、緊急時だけでなく、日常(平時)に見守りネットワークを機能させ、促進させるための要因を検討する。③では、住民の自発性を尊重しつつ、日常、緊急時に見守りネットワークが機能できている要因や、見守りネットワーク全体の仕組み(システム)を分析する。 ②③に関しては、平成27年度中に、地域包括支援センターが関わる事例の中で、過去1年間に救命救急センターに搬送された10事例の概要について情報提供を受けている。平成28年度には、これらの事例を担当する職員へのインタビュー調査を実施する。調査実施時期は、平成28年8月~10月とする。この調査結果をもとに、救命救急センター入院に至った経緯を、地域包括支援センター、病院・診療所、民生委員・福祉推進員や地域住民、家族・親族などとのかかわり・支援を中心に、時間軸に従い分析する。とくに、入院に至った要因の発生とその後の変化(悪化)、入院・悪化を回避できたかもしれない要因などを分析することにしている。この調査研究は、県立広島大学保健福祉学部研究倫理審査会の倫理審査を受けて実施予定である。 2014年介護法研究については、2017年9月にシェフィールド市において現地調査を実施する予定である。平成28年度は同市における法施行後のケアラー支援を中心に情報収集し、調査準備を行う。
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Causes of Carryover |
前記のように、①見守りネットワーク効果分析、②見守りネットワーク促進・阻害要因分析、③見守りネットワーク仕組み(システム)分析のための調査がほとんど実施できなかったため、予算に計上していた謝金、交通費などが次年度の使用となったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に、①見守りネットワーク効果分析、②見守りネットワーク促進・阻害要因分析、③見守りネットワーク仕組み(システム)分析を実施する予定であるため、その謝金、交通費などに使用する。
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Research Products
(9 results)