2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study on healthcare systems aimed to increase disease prevention
Project/Area Number |
15K03918
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松本 由美 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (90627689)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 医療保障システム / 予防 / 疾病管理 / 医療保険 / フランス / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の前半には、ドイツの多様な医療提供者の連携の仕組み(疾病管理プログラム、家庭医制度、統合供給等)に焦点をあて、予防をめぐる改革方策のさらなる検討を行った。まず、慢性疾患患者のための組織化された治療プログラムである「疾病管理プログラム」の制度的枠組みや普及のための工夫、効果等に関する検討を行った。研究の成果は、「慢性疾患患者に対する医療提供のあり方―ドイツ医療保険における疾病管理プログラム―」(『福祉社会科学』第9号、2017年10月)として発表した。 次に、ドイツにおける家庭医制度と多様な医療提供者の連携の仕組みである統合供給について検討するため、8月にマックスプランク社会法・社会政策研究所(在ドイツ・ミュンヘン)に研究滞在し、関連文献・情報の収集、専門家との意見交換を行った。これを踏まえてドイツの改革方策について検討するとともに、フランスの改革方策との比較考察を行い、平成29年10月に開催された社会政策学会第135回大会において「予防の強化を目的とした仏独の医療保険の改革方策―慢性疾患への対応を中心に―」と題する報告を行った。報告においては、フランスの改革方策(かかりつけ医制度と関連の報酬支払い制度)とドイツの改革方策(家庭医制度と疾病管理プログラム)を通じた慢性疾患への対応について比較の視点から検討を行った。 最後に、本研究のまとめとしてフランスとドイツの予防・疾病管理に関する改革方策の比較考察を行った上で、日本の政策的取組みへの示唆を整理し、その成果を「フランスとドイツにおける疾病管理・予防の取組み」(『健保連海外医療保障』No.117、2018年)として発表した。本研究を通じて明らかとなった、予防を強化するための取組みの共通要素と医療保険(保険者)の役割は、日本の医療保障システムを予防重視型へと転換するために重要な知見であると考える。
|