2016 Fiscal Year Research-status Report
青年期精神保健におけるTreatment Gapに関する研究
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15K03936
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
細羽 竜也 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (40336912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 あゆみ 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (60445096)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 受診促進要因 / 受診阻害要因 / 期待 / スティグマ / 不信 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,以下の取り組みを行った.(1)受診勧奨者の要因の検討:申請書に既述したように,精神的不調時に受診態度を促進する要因には,受診勧奨を行う人が信頼できるかどうかが影響をする.過去の研究では,親と友人があげられた.平成28年度では,親について,大学生を対象に,親子関係の特徴と親子のコミュニケーション・スタイルの関連関係を検討した.その結果,親からの圧力的なコミュニケーションは子どもの愛着志向を歪め,ストレス脆弱性を高めることが示唆された.一方,友人についての検討では,その関係性がコミュニケーションを規定することがわかった.(2)精神的不調時での受診勧奨の内容(助言内容)も受診態度に大きく影響する.その際の因果関係のヒントを得るため,平成28年度ではストレスに対する支援についての一般的な知見を探求した.具体的には,スーパーバイズ経験が介護支援専門員の職業性ストレスに及ぼす影響について検討し,ストレス時に助言した場合の受け手への影響を検討した.検討の結果,職務に対するストレスが高い場合,介護支援専門員は,教育的・管理的なスーパーバイズを経験していたが,離職率の抑制に効果的な取り組みは,支持的スーパーバイズであった.すなわち,ストレス時への助言は事態への対処に関わる助言が多く生じるが,助言相手に支持的なものでなければ相手との関係性に影響する可能性があることが推察された.以上の結果から,精神的不調時での肯定的な受診態度の形成には,適切なコミュニケーションで形成された親・友人など信頼できる存在が,支持的な態度を示しながら適切な助言を行うことが重要である可能性が考えられた.また過去の研究をふまえ,助言には精神的不調の解決への期待を抱かせるものであり,かつ医療へのスティグマや不信を抑制する取り組みも必要になる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Treatment Gapが生じる背景には,受診促進要因(受診の必要性・受診への期待・受診勧奨する人への信頼など)と受診阻害要因(精神疾患や精神科医療機関へのスティグマ・精神科医療への不信・医療への不案内など構造的障害など)がある.当初の計画では,これらの要因の項目立てを行うことを予定していたが,各々の要因の背景となる諸因子の検討の必要性を感じ,平成28年度はその諸因子の検討を優先した.そのため,当初予定で作成予定だった”Treatment Gap”尺度及び妥当性の検証が遅延した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27・28年度の事業への取り組みによって,尺度項目の選定は進捗した.現在,尺度構成のための研究事業を早急に進めていく予定である.当初の研究計画を変更する予定はない.
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」に既述したように,これまでは当初の計画を進める前の予備的検討を慎重に繰り返しており,このため,当初予定で立案した予算計画を遂行できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予算計画のとおり,”Treatment Gap”尺度の構成に必要な分析を行うため,分析ソフトを購入予定である.また,”Treatment Gap”を解消するための教育プログラムの開発のための諸経費にも充てる予定である.
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Research Products
(12 results)