2017 Fiscal Year Research-status Report
社会的孤立の防止に資する社会関係資本の形成と評価:弱いつながりに関する実証的研究
Project/Area Number |
15K03938
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
山村 靖彦 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (80455089)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的孤立 / 社会関係資本 / ソーシャル・キャピタル / 弱いつながり / 脆弱性 / 小さな拠点 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、国内外および学際的視点からの社会関係資本論(ソーシャル・キャピタル)をめぐる動向や評価について分析検討を行った。計28件の文献を収集し、今日の社会関係資本論の研究傾向を分析した。現在は、これらを社会的孤立に照らし合わせ考察する作業を行っている。アンケート調査についても、前年度から行っている高知県内4市町からなる地域および対象者12名への支援、対象者へのアクションリサーチを継続している。以上の中間報告として、①山村靖彦(2017)「地域福祉学と共生型地域づくり」田中きよむ編『小さな拠点を軸とする共生型地域づくり』晃洋書房,pp.181-202.②〔基調発表〕山村靖彦(2017)「地域の子ども支援――子育ち支援のあり方を問う」日本地域福祉学会第31回セッションⅠ.の2報告を行った。また、昨年の4月から開始した協力者である4市町の社会福祉協議会コーディネーター、民生児童委員、福祉委員(計72名)とは、それぞれが担当する地域で開催される民生委員会等を利用し、本研究に関するミーティングを計9回開催した。その他、今後の分析につながる本年度の主な活動については、以下のとおりである(前年度からの実施を継続している)。 (1)地域への支援:対象地域に対し、社会福祉協議会コーディネーターが毎月定期的に実施している「高齢者サロン」、「地区会」等にて、対象者(孤立者)12名への見守り活動や日常のつき合い方に対する協議を行った。 (2)対象者への支援:研究協力者と協働して、対象者への超え掛け(見守り)、「高齢者サロン」への誘い等を行い、相談・話し相手としての活動を通じて支援を行った。 (3)アクションリサーチ:対象者の意識と生活の変化を把握することを目的に、研究協力者とともに対象者12名に対し、それぞれ年間2回の非構造化面接を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共著による書籍発表および学会報告(基調講演)は行ったものの、それらはこれまでの文献研究の成果であって、研究の「進展」とは言いがたい。 調査研究については、本研究の調査協力者であった民生児童委員の32名中14名が一斉改選にて年度後半に交代したことにより、継続していた経年調査が一部実施できなかった。 さらに、研究代表者が異動することで調査フィールドから遠くへ離れることになり、年度の後半はその調整に追われたため計画的な研究の進行には至らなかった。 以上の理由から、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、研究代表者の異動にともない、一部の調査対象地域を高知県から福岡県に移動する予定である。本研究の推進にあたっては、地域福祉論と社会関係資本論の関係性に関する本質的な研究をさらに深めなければならないことを痛感している。このことから、今後は哲学的指向も加えた本研究にかかる本質論についても検討の範囲を広げる予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究協力者である4市町の社会福祉協議会コーディネーター、民生児童委員、福祉委員とのミーティング回数が当初予定の12回から9回となり、その分の旅費支出がなくなったため。 (使用計画) 研究代表者の異動にともなう旅費支出の増額の補充費として計画している。
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